ドリブルと得点力を併せ持つ「カタールのモハメド・サラー」
今回のカタール代表においては3-4-2-1の左ウイングとしてプレーしているアクラム・アフィーフであるが、基本的に前線であればどこでもこなすことができる。
最大の武器はドリブルであり、鋭い加速を生かした縦の突破のみならず、サイドからカットインシュートを狙う方向転換も魅力だ。そこから繰り出されるシュートの精度も見事というほかない。
またカタールリーグでアシスト王に輝いた実績があることからも分かる通り、チャンスメイカーとしても優秀な技術を持っており、自分の打開力だけに頼ることもない。
その才能は、カタールにおいてワールドカップ招致アンバサダーやアル・サッドの選手や監督という仕事をしてきたチャビ・エルナンデスも認めている。
2016年にアスパイア・アカデミーのインタビューに答えたチャビ・エルナンデスは、ビジャレアルに移籍したアクラム・アフィーフについてこう話していた。
「彼がビジャレアルと契約したことは、カタールサッカー界にとっての最高のニュースだ。アスパイア・アカデミー、アル・サッド、そしてカタール全体にとって、リーガに選手がいることは素晴らしいものだ。
アクラム・アフィーフは現在も未来も大きな希望があるサッカー選手であり、ワールドカップではこの世代のリーダーになるだろう。天性の才能があり、スペインでもやれる資質がある」
また、それから3年が経過してアル・サッドでともにプレーしたあとも、チャビ・エルナンデスは以下のように称賛した。
「アジアカップ優勝、そしてアル・サッドのACLベスト4。アクラム・アフィーフが2019年のアジア年間最優秀選手賞に選ばれたのは当然だ。おめでとうと言わざるを得ない。彼のパフォーマンスはクラブでも代表でも素晴らしかった。彼は変化をもたらしてくれた。
これほどの才能を持っている彼は、多くの野望を持っている。まだまだ彼は若いし、キャリアの中で様々なことを達成できるはずだ」
チャビ・エルナンデスとはまさに「師弟関係」にあるアクラム・アフィーフ。世界最高司令塔が認める天才が、10日にはアジアの頂点を目指して戦う。
「明日にでも欧州へ戻りたい」
1月12日に行われたアジアカップ開幕戦、カタールはレバノンを相手に3-0と快勝した。そこで2ゴールを決め、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのがアクラム・アフィーフだった。
『Reuters』によれば、彼はその試合後に行われたインタビューで記者団に対し以下のように話していたという。
「僕だけではない。カタールのどの選手もヨーロッパでプレーしたいと思っているよ。できれば明日にでも欧州に行きたいよ。可能ならね。だけど、それは僕がどうこうできるものではない。この国を出て、ヨーロッパに行って、そこでベンチに座るだけになってもいけない。
いま、僕はこの国を助けている。しかし、『君はどうしたいか』と聞かれれば、またヨーロッパでサッカーをプレーしたいよ」
「“ヨルダンのメッシ”と呼ばれたくない」アジア杯で大ブレイクのアル・ターマリ、『唯一の欧州組になれたワケ』とは
27歳になったアクラム・アフィーフ。チャビ・エルナンデスも認める天才は、このアジアカップでの結果で夢の欧州再挑戦に臨むことができるだろうか。
【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ