元ドイツ代表の名DFフランツ・ベッケンバウアー氏が8日、病気のために息を引き取ったとのこと。享年78歳。
『BR』によれば、ベッケンバウアー氏は日曜日に家族の見守る中で「安らかに眠りに落ちた」とのこと。
月曜日にドイツ通信社へと声明を発表した家族は以下のように書いているという。
「深い悲しみとともに、私の夫であり、我々の父であるフランツ・ベッケンバウアーが、日曜日に家族の見守る中で眠りに落ち、そして安らかに息を引き取ったことを発表いたします。静かに悲しみに暮れている我々に、いかなる質問も控えていただくようお願い申し上げます」
フランツ・ベッケンバウアーは1945年にミュンヘンで生まれ、1959年にバイエルン・ミュンヘンの下部組織に加入。1964年に18歳で左ウイングとしてプロデビューした。
それから数年でバイエルンのキャプテンになり、そしてポジションも最終ラインのいわゆる「スイーパー」を任された。本来は最後方でカバーリングをする役割であったが、ベッケンバウアーはそれに攻撃参加を加えて「リベロ」というスタイルを確立。
バイエルン・ミュンヘンのブンデスリーガ3連覇、チャンピオンズカップ3連覇、そしてドイツ代表のEURO1972優勝、1974年ワールドカップの立役者となった。ディフェンダーながらバロンドールを2度(1972年と1976年)獲得するなど、ヨハン・クライフと並んでこの時代の世界最高プレーヤーとして名を馳せた。
また1983年に現役引退後は指導者になり、1984年からドイツ代表監督を務めてワールドカップに2度出場。1990年には指揮官としても世界王者に輝いた。
なお、選手としても監督としてもワールドカップを制覇した人物は奇しくも先日死去したばかりのマリオ・ザガロ、現フランス代表監督のディディエ・デシャン、そしてベッケンバウアーの3名しかいない。
愛称は「デア・カイザー(皇帝)」。ドイツサッカーに多くの栄光をもたらした英雄の死に、世界は悲しみに暮れているようだ。