地方大学選手の評価にも変化が

松尾が所属していた浦和アカデミー時代の評価は低かったといわれている。同期にはトップチーム最年少出場記録を持つMF邦本宜裕(マレーシア1部ジョホール)、MF新井瑞希(J1ヴィッセル神戸)、DF中塩大貴(J2ザスパクサツ群馬)、FW松澤彰(J3・SC相模原)らがおり、この世代でトップチームに昇格した選手はいなかった。以前松尾を取材した際に「僕らの世代は谷間の世代だった」と語っていた。

その中でも松尾は当時167センチと小柄だったこともあり、「(Aチームで)試合に出た記憶がない。当時は身長が小さくて話にならなかった。(高校進学後も)見てくれる人は見てくれるけど、周りからいい評価は受けなかった」と振り返っている。

関東の名門大から声がかからなかった松尾は東北の強豪である仙台大に進学し、そこでバーベルを用いたフリー・ウエイトトレーニングでフィジカル強化などが功を奏して快速アタッカーに成長した。大学2年次は14試合25得点で東北学生1部リーグの得点王となり、翌年は同リーグで12アシストでアシスト王と結果を出した。

東北で突出した活躍を見せたが、世代別代表、全日本大学選抜、ユニバーシアード代表とは無縁だった。同期の筑波大MF三笘薫(現イングランド1部ブライトン)を筆頭に、黄金期を形成した1997年生まれ世代の中では地方大学リーグで有名な選手という評価だったと複数関係者は明かす。

J1、J2クラブで興味を持ったクラブは複数あったが、実際に加入内定のオファーを出したクラブは横浜FCとJ3クラブ1チームのみだった。

そのため、あるJリーグクラブの強化関係者によれば「まだ確認できていない宝石が地方大学サッカーにある」と地方大学サッカーの見方が徐々に変わり始めたという。

特指として松尾が活躍したケース、2018年にJ1名古屋グランパスが1年生ながら早期獲得した東海学園大MF児玉駿斗の事例により、スカウト網に引っかかっていない地方大生の発掘などが目を向けられるようになった。

地方の強豪大は特指の選手貸出も関東、関西より積極的なため、松尾のような選手が今後地方大から出てくるかもしれない。