――難解だとされるポヤトス監督のサッカーをどう捉えていますか?
「ダニ(ポヤトス監督の愛称)のサッカーは、『ボールを繋いで試合の主導権を握り続けるのが絶対』というわけではありません。相手の出方や動き方を見て、どこに数的優位が出来ていて、どこにスペースがあるのか?ということに重点をおき、考えながらプレーする。
もちろん、1試合1試合の相手が違うので、スペースができる場所も変わります。いかに自分たちが攻撃を仕掛けるためのスペースを見つけて、そこにボールを持っていけるか、というのが重要視されています」
――『ガンバの新しいスタイルはコレだ!』と言うよりも、選手個々のサッカーIQが高まり、攻守に整理されたサッカーというイメージですか?
「個々のサッカーIQが上がったというのもありますし、その中からピッチに出ている11人が状況に適した答えを統一して導き出せるようになってきたと思います。
結果が出ていない時期は簡単なミスから失点したことも多かったので、リスクを冒さないシンプルなプレーが増えていたのですが、徐々に自分たちがやりたいプレーも織り交ぜることができるようになってフィットしてきました。
監督の狙いや自分達のやりたいことがある一方で、最近の試合では相手や状況を見てリスクをかけ過ぎずバランスも意識し、上手く試合を運んで勝利につなげられていると思います」
――黒川選手はピッチ上で外国籍選手とコミュニケーションをとることが多いですよね?時には3人くらいに囲まれているのも目にします。
「多いかもしれません。ピッチの左半分にいる日本人選手が僕1人だけの時もあるので。試合中の会話はサッカーに関することだけなので、簡単な英語や日本語、ジェスチャーで伝えています。
同サイドのインサイドMFにダワン、ウイングに(ファン・)アラーノが入る時もありますし、アンカーにネタ・ラヴィもいるので、自分がパスを出す先やスペースをどう使うのか?攻撃参加した時のカバーに入るポジショニングの確認などを共有しています。
そういう細かい意識のズレが綻びとなって失点することもありますし、逆に意思疎通次第では得点に繋がる場面もあります。
今いる外国人選手たちは日本人選手たちをリスペクトしてくれていますし、そのうえで自ら積極的に意見交換もしてくれます。そんな彼らを僕らもリスペクトしていますし、お互いに言い合える良い関係を築けています」
――外国人選手たちとの関係もそうですが、SBだとタッチライン際でポヤトス監督の指示を受けて、他の選手たちに伝える役割もあります。ガンバは外国人監督が成功できない例が多いですが、黒川選手がサポートしている面が多そうですね。
「いえいえ、それは言い過ぎでしょ(笑)。でも、試合中に監督の指示を伝えるのは僕の役目です。
監督の指示をピッチにスムーズに反映させるためにも、敢えてそのまま他の選手に伝えるのではなく、普段から監督が掲げているコンセプトや意思に沿って、自分の考えも加えて伝えるようにしています。
だからこそ、『この立ち位置をとってくれたら、こういうボールの動かし方ができる』ということを試合中にもよく考えています」
G大阪のポヤトス監督(セルティック戦前日会見)写真提供:ガンバ大阪