今夏のマーケットでサウジアラビアと並んで存在感を見せているアメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)。

スター選手が一つのチームに集結することがないことから国際的なトーナメントでの実績は乏しいものの、リーグ全体の盛り上がりという点では急速にその力を高めており、アメリカでは野球やアイスホッケーを追い抜こうとしている。

そして、あのデイヴィッド・ベッカムがオーナーを務めるインテル・マイアミには今夏リオネル・メッシ、セルヒオ・ブスケツに続き、ジョルディ・アルバかアンドレス・イニエスタが加入する予定であるという。

そこでよく話題になるのが、MLSのサラリーキャップ制度とかつての「ベッカム・ルール」の存在だ。

MLSは各チームに給与総額の制限が課せられており、その支払いについてはリーグ側が責任を持っている。「ベッカム・ルール」というのはそれに該当しない特別扱いの選手が獲得できるが、支払いはクラブ側が責任を持つ…という規則だ。

ただ、それもベッカムが加入したときと比べて大きく変更されている部分がある。今回は現在MLSで運用されている選手獲得ルールを改めてざっくりとまとめてみよう。

サラリーキャップ制度について

  • MLSのサラリーキャップ制度は正式には「サラリー・バジェット」と言われるもので、2023年の各チームには521万ドル(およそ7.5億円)の制限がある。
  • MLSのトップチーム選手に関しては最低年俸が設定されており、8万5444ドル(およそ1230万円)に設定されている。
  • MLSトップチーム選手の給与上限は65万1250ドル(およそ9400万円)に設定されている。
  • ターゲット・アロケーション・マネー・プレイヤー(※選手獲得に移籍金を支払った場合など、一定の条件を満たした際に給与を引き上げられる枠。通称「TAM」)の給与上限は165万1250ドル(およそ2.4億円)に設定されている。
  • チームは選手を売却した際の収益のうち最大115万7625ドル(およそ1.7億円)を配分金(General Allocation Money、通称「GAM」)として使うことができる。
  • なお、TAMとGAMについてはは他のMLSチームとの間の取引で資産として使用することができる。

ベッカム・ルールについて

  • ベッカム・ルールは正式には「Designated Player Rule」と呼ばれ、「Designated Player」通称「DP」はサラリーキャップの制限に該当しない選手を指す。
  • ただしDPは全くサラリーキャップに影響しないわけではなく、24歳以上であれば65万1250ドル(およそ9400万円)、23歳以下なら20万ドル(およそ2900万円)、20歳以下なら15万ドル(およそ2160万円)の額を受け取っているとして扱われる。それまでの額はリーグ側が負担するが、超過する分の報酬はクラブ側が財政的責任を持つ。
  • MLSに参加している各チームはそれぞれ2人+1人のDesignated Player(DP)を獲得することができる。
  • 2名のDPを保有しているチームが3人目を獲得する場合、リーグに15万ドル(およそ2160万円)の贅沢税を支払わなければならない。そして、その15万ドルはDPを2名しか保有していないクラブに分配される。
  • ただし、その3人目のDPが23歳以下の選手であった場合は15万ドルの贅沢税を支払う必要はない。そして、このDPの枠についてはクラブ間で取引することができない。

【関連記事】2026年W杯を“支配”する「北米の超絶若手」13名

…MLSの選手登録ルールはこれ以外にも細かい項目がたくさんあり、条件を満たした際に上記の点も例外になるポイントが多くなっている。そのため一概にこの説明だけで実態を表しているとは言い難いところはあるものの、ざっくりとした理解の上ではこれらを覚えておくと役に立つかもしれない。

つまり、かつてベッカム・ルールはかなり厳しい制限になっていたものの、現在はお金さえあれば1クラブ3人までは獲得することが可能になっているということだ。また数年前よりもサラリーキャップで許可されている額もかなり引き上げられており、普通の登録でも1億円近くであれば受け取ることができるのだ。

【厳選Qoly】なぜ?日本代表、2024年に一度も呼ばれなかった5名

ラッシュフォードの私服がやばい