日本サッカー協会(JFA)は昨年3月15日、三井不動産レジデンシャル株式会社と「JFAハウスの土地建物に関する売買契約」を締結したことを発表した。

2002年に開催された日韓ワールドカップの黒字などを使い、2003年にJFAが購入したJFAハウス。その後、日本サッカーの“中心地”として機能するだけでなく、街においても重要な存在となり、目の前の通りは「サッカー通り」と命名されている。

しかし、2020年からのコロナ禍で状況が大きく変化した。上記の契約締結リリースの中では、売却の理由について以下のように述べられている。

コロナ禍は私たちの生活や社会活動を大きく変えました。この2年間でリモートワークが定着し、政府が進める働き方改革も大きく前進したのではないでしょうか。JFAでも在宅勤務に必要なインフラが整備され、リモートでも支障なく業務にまい進できる環境になっています。仕事と子育て、仕事と介護の両立がしやすいなど柔軟な働き方が可能になったほか、職員らの労働時間の軽減、コスト削減にもつながっています。

一方、JFAのこの1年間の1カ月の出勤率を見ますと、平均で19.5%、出勤率が最も高い月でも26.7%となっています。JFAのオフィススペースの75%から80%が活用されていない状況で、JFAハウスに入居しているテナント各社も同じような状況にあります。加えて、JFAハウスの経年による修繕が必要な時期を迎えるなど、JFAハウスの活用については大きな転換期を迎えています。

こういった状況に鑑み、JFAは、時代や世の中の変化に即したオフィス環境を整えて生産性や業務効率の向上を図りながら、サッカー事業を通じてより多くの社会的価値を生み出していきたいと考え、JFAハウスを売却することを決定しました。

世代別を含む日本代表強化の中枢機能は、2020年に完成した高円宮記念JFA夢フィールドへ早くに移転。その後のJFAハウスの売却決定に伴い、各団体・企業の移転も進んでいる。