知名度抜群のベテランと“筆頭格”の三笘
話はさかのぼることカタールW杯の開幕前。筆者は普段サッカーを観ない友人たちと会話する機会を得た。
テレビの報道番組やヤフーニュース、Twitterで日本代表の動向を知る彼らに、現在の代表で認識しているメンバーを尋ねてみると、概ね同じような回答が返ってきた。
『ベテランの長友佑都、吉田麻也、川島永嗣は知っている』
『中堅・若手だと三笘薫、久保建英、堂安律ならわかる』
長きに渡って日本代表を支えてきた長友らベテランたちが抜群の知名度を誇り、プレミアリーグでの活躍も目覚ましい三笘が“中堅・若手”のカテゴリーでは筆頭格だった。
なお、三笘と久保はスポーツニュースでよく取り上げられているのが要因で、堂安はクレジットカードのCMに出演していることが大きいという。
その後、日本代表の試合がすべて終了したタイミングで改めて話を聞いたところ、浅野拓磨、田中碧そして前田大然が知名度を高めていた。3名ともゴール(浅野はドイツ戦、田中はスペイン戦、前田はクロアチア戦)を決めており、そのシーンが繰り返し報道されたことで自然と名前を覚えたようだ。
嬉しくなった筆者は遠藤航、鎌田大地、冨安健洋ら欧州の舞台で評価を高め、W杯でも主軸としてプレーした選手についても訊いてみたが、期待とは裏腹にリアクションは芳しくなかった。
特に遠藤に関しては、『以前活躍していた方(※保仁)なら知っているけど……』という回答だった。
そこで、遠藤保仁が司令塔として君臨していたザックジャパン(2010~14年のアルベルト・ザッケローニ体制)時代の主要メンバー(本田圭佑、香川真司、長谷部誠、岡崎慎司、内田篤人)を矢継ぎ早に確認してみると、『全員わかる』とその反応は一変した。
なぜ、ザックジャパンのメンバーは現在も知名度が高く、森保ジャパンは今ひとつなのか。
一番の要因は、「キャラの濃さ」だと考える。本田ら主要メンバーは強い個性と確かな実績を兼備し、サッカー界を超えた存在となっていた。森保ジャパンも実績ではいい勝負ができるかもしれないが、やはり個性という面では劣っているだろう。
しかし、「キャラの濃さ」という意味で、第二次森保政権は期待できる点が多い。カタールW杯で結果を残した三笘と堂安は看板選手になるだろうし、久保含むパリ五輪世代(U-22代表)とU-20代表は個性的な面々が揃う。
ルーキーイヤーから主力としてフル稼働した松木玖生、スケールの大きさを感じさせるチェイス・アンリと鈴木彩艶、かねてより注目されてきた中井卓大、10代でドイツ挑戦を決意した福田師王と福井太智といった逸材たちが日本の将来を背負うはずだ。
彼らの活躍が代表人気の復活と維持を左右すると言っても過言ではない。