サッカーコーナーには様々な国やクラブのユニフォームが何枚も飾られ、サッカースターズ(選手の人形)もズラリ。クラブのエンブレムのついたカップやステッカー、タオルマフラーなども所狭しと並べられていた。

店内は様々なスポーツ好きの大人達で混雑しており、鮨詰め状態。店内のBGMはアントニオ猪木氏の「炎のファイター INOKI BOM-BA-YE」だったと記憶している。

高値の商品は店舗中央のガラスケースに保管されていて、その中にはメジャーリーガーやNBA選手、アメフト、プロレスラーなどの直筆サイン入りグッズが飾られていた。ガラスで隔たれていたが、スーパースターの存在が目と鼻の先にあるだけで私のテンションは最高潮に達した。

そうしたなか、ふとケースの中の一枚のカードが目についた。それは言わずと知れたサッカー界のスーパースター、ロベルト・バッジョのジャージーカードだった。

ジャージーカードとは選手が実際に着用したユニフォームを細かく裁断し、カードに挟み込んだもの。現在のカード業界では“メモラ”や“レリック”と呼ばれ既に一般化しているが、当時その発想と製造技術は斬新なものであり、プロダクトの目玉として紹介されていた。私も「うわー!なにこれ!」と思わず声を上げたのを覚えている。

カードの値段は言うまでもない。いくらだったか忘れてしまったが、父に「これ、買って!」と冗談でも言えない額だった。ただ、それは値段に相応するほど美しく、まるで芸術品のように人を惹きつける不思議な魅力があった。

ちなみに、せっかく来たのに店ではなぜか福袋は買わせてもらえず、バッジョのカードが封入されている確率があるカードを数パックのみ購入した。家に帰って開封してみたものの、当然ながらバッジョのジャージーカードはヒットしなかった。

その後、私も兄も所属するサッカー少年団でレギュラーポジションを掴んだため、週末は試合に明け暮れる毎日となった。初売りの日もいつしかチームの“初蹴り”へ行くようになり、夢の国へ行く機会もなくなった。いつしか私はサッカーをプレーする方に夢中になっていった。