15日の第2試合として行われたモロッコ対イラン。スペインとポルトガル戦を残していることから、両者なんとしても勝利が欲しいゲームだ。
どちらもスタートのフォーメーションは4-1-4-1。メンバーを見ても明らかに攻撃的な選手を並べたもので、主導権を握りにかかっていた。
序盤にペースを掴んだのはモロッコだ。かなり強引なプレッシャーとサイドアタックで、やや慎重に入ったイランを自陣に押し込んだ。19分にはフリーキックから3発のシュートを放つ決定的場面を迎えたが、イランの決死のブロックによって防がれた。
しかしその後、流れは徐々に変化する。
イランは主導権を握ることを諦め、ディフェンスの整備をスタート。やや遅れを取っていたサイドにはインサイドハーフのマスード・ショジャエイとヴァヒド・アミリが下がるようになり、モロッコに簡単な攻めを許さない。プレスを無効化させるため長いボールを蹴る。
すると徐々に攻撃でもペースを掴めるようになる。いい形でボールを奪えば、イランの攻撃的な選手たちはキャラクターを出せる。モロッコの最終ラインがビビって下がれば、勝手にコンパクトさを失ってくれるのだから。
後半、先に変化を作ってきたのはモロッコだ。
ビルドアップでは、インサイドハーフの近くに一度ボールを入れるか、あるいは逆サイドを一発で使うという形を意識。これにより、イランの「インサイドハーフの戻りによるサイド守備」を封じた。しかし、イランが長いボールを蹴るため前線でボールを奪えない状況は続いており、ペースを握るまでには至らなかった。
75分を超えてからは両者の疲労がピークとなり、イランではMFウミド・イブラヒミとアリレザ・ジャハンバフシュ、モロッコではアミヌ・アーリットがプレー続行不可能に。
モロッコはそれをきっかけに3バックへと変更し、前線に厚みを作るも…逆にチャンスを得たのはイランだった。
アディショナルタイム3分が過ぎたところ、イランのカウンターにたまらずモロッコのDFソフィアヌ・アムラバトがファウル。左サイドからのハジ・サフィのフリーキックを、ニアでモロッコFWアジズ・ブーハドゥーズがクリアしそこね、なんとオウンゴールに…。
終了間際のゴールでイランが勝利。同国としては20年ぶり、アジアの国としては2大会ぶりとなるワールドカップでの白星だった。一方モロッコは最後の最後で勝点1を逃す形となった。