監督交代には遅すぎる時期であり、本大会までハリルホジッチ体制を継続するべきだった。田嶋会長の言葉にも引っかかる点は多く釈然としない。

ただ一方で、ピッチ上のパフォーマンスだけを見た場合、解任する理由について理解もできる。キーになったのはやはり個人的にも違和感を覚えた3月の2試合だ。

EAFF E-1選手権までは本大会への準備が順調に進んでいるとみていた。予選の豪州戦2試合でチームのベースははっきりしており、後は最終的に必要な23人を見極め、メンバー選出後に戦える状態へ仕上げる。それが本大会までの流れだったはずである。

ただ、3月の2試合を見て、チーム全体が持つ基準が思った以上に低いと感じられた。もともとハリルホジッチ監督のサッカーに適合する日本人選手は限られており、「帯に短し襷に長し」な選手も多い。そのなかでやり繰りをする必要があるが、これだけ怪我や出場機会減少などでコンディションが整わない選手が出てくると事前の想定にも狂いが生じてくる。その際にチームのクオリティを維持するための柔軟性や“次の一手”に関して、本大会までまだ時間があるとはいえ不安が否めなかった。

また、選手は人をつかまえる守備などハリルホジッチ監督の指示を必死に実行していたが、その結果守備が崩壊してしまう。チームとしてのビルドアップの拙さといった攻撃面の問題も含め、「こうするべきだと思うが監督に従わざるをえない。しかしそれが全然うまくいかない」という状況は相当なストレスだったはずだ。

手法としてハリルホジッチ監督のやり方はおそらく間違っていなかった。ただ、彼がこれまで率いてきたのはフランスのチームやフランス語圏のアフリカ諸国であり、日本において様々な面でチームと折り合いをつけることはこれまでよりも難易度が高かったと思われる。

最終的に本番ですべてがひっくり返った可能性はあるが、その可能性を選手や協会関係者にもっと提示できていればこのような結果にはならなかったのではないだろうか。

(編集部O)

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