編集部O:反対
普段から自分でもプレーしているため不可解な判定に出くわすことは少なくない。しかし、VARの導入に関しては反対である。サッカーは攻守切れ目のない展開が大きな魅力であり、現状のVARはそれを損ねる部分が大きい。
導入の動きが広がっていることに関して、運営側の視点に立てば一定の理解ができるが、そこには「面倒ごとを少しでも避けたい」という意味合いもあるのではないかと感じてしまう。
判定によって試合ごとに有利不利が生まれるとしても、一年なりのトータルで見ればほぼ公平さは保たれている。
そもそも、競技規則を最低でも9割程度理解していない人が「誤審」という言葉を平然と使うといったことのほうが個人的には疑問だ。
そうした審判を取り巻く環境や“空気”を少しでも変えていくことで、VAR導入慎重派が増えていくことを期待している。
ちなみに、副審の助けとなるGLTや試合後に映像で確認してのサスペンションなどは賛成である。
編集部K:反対
審判はルールだけに照らして事象を判定すればいいわけではない…というのは昔から言われていたことだ。「ジャッジが杓子定規だ」というのは批判なのに、杓子定規に近づけてどうするのか?
毎試合何度も「判定を覆す」ことを繰り返せば、なおさら選手との信頼関係がなくなる。ビデオなら主審に言ってどうなるものでもない上、目の前の男は何度もミスをしているのだから。コミュニケーションを取れなくなる。
FIFAは審判に「正しいジャッジはできている」という言い訳を与えているが、それも対立を招いているといえる。これだけテストをして、何か劇的な進歩があるわけでもない。
そもそもビデオにするならピッチ上に審判は必要なのか。相撲や剣道、柔道の審判のように、ビデオで5人が常時見て3人以上が判定すればファウル…にすればもっと「正しくリアルタイムで」判定でき、責任も分散する。
また、正しいか正しくないかの前に、まずエンターテイメントとしてどうなのか?という疑問が残る。
少なくとも、MLBやテニス、バレーボールのチャレンジシステムは、ミスジャッジをうまくエンターテイメントに繋げている。こちらの方が、「面白い」ものになるはず。
VARは「審判の買収対策」としては有用だと思う(FIFAはむしろこちらを狙っているのでは?)が、それを必要としているリーグはそもそもVARを導入するリソースがない場所だ…。
結果は賛成4票、反対2票。編集部内でも意見が二分する結果になった。皆さんはどう思うだろうか?