ヴァンフォーレ甲府が奮闘を見せている。

例年通り降格候補に挙げられながらも、J1第13節を終了して14位。10位のサガン鳥栖とも勝ち点差は4だ。サンフレッチェ広島、大宮アルディージャといった上位を狙えるチームが降格圏に沈んでいることを考えれば、悲観的になる必要はない。

今季も残留が最大の目標となる甲府。今回のコラムでは、しぶとくサバイブする“プロヴィンチアの雄”の戦いぶりにフォーカスを当てていく。

まさに教科書通りの「堅守速攻」

上図が今季の基本システムだ。

最後尾を守るのは岡大生。リベロにキャプテンの山本英臣もしくは畑尾大翔が入り、その両脇を新井涼平(新里亮)とエデル・リマが固める。

ウイングバックは右に松橋優、左に阿部翔平で、両サイドをこなす橋爪勇樹がベンチに控える。3センターハーフはアンカーに兵働昭弘、インサイドハーフに小椋祥平と田中佑昌(オリヴァー・ボザニッチ)。

2トップはウイルソンとドゥドゥのブラジリアンコンビと堀米勇輝、河本明人がポジションを争う。

チームの基本コンセプトは、「堅守速攻」だ。城福浩氏が基礎を築き、佐久間悟氏が継続させた5バックが代名詞。そこに今季から指揮を執る吉田達磨監督が独自のエッセンスを加えている。

上図の通り、今季は5-3-2が基本形だ。昨季までは5-4-1がメインとなっていたが、2トップへとマイナーチェンジをしている。

この変化については後述するが、攻守のコンセプトは変わっていない。ハイプレスではなくコンパクトな守備ブロックを自陣に敷き、奪ったボールはシンプルに相手DFの背後に蹴っていく。リスクを徹底的に排除した堅守速攻はまさに教科書通りである。

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