RB:小池龍太(柏レイソル)
一見すると、170cmにも満たないその小さな体は頼りないかもしれないが、彼をなめてかかるとえらい目に逢う。直近でその餌食となったのが、横浜F・マリノスの絶対的エースである齋藤学だ。J1第8節に小池龍太と同サイドで対峙することになったのだが、90分を通してシュートを撃てず完封されたのである。
柏レイソルはこの試合を前に齋藤対策として、小池とボランチ、もしくはサイドハーフとの連動で抑えることを準備してきた。だが、蓋を開けてみると、いい意味で想像していた展開にはならなかった。試合後に指揮官の下平隆宏は「今日は驚くぐらい小池が齋藤学選手を抑えた。何より小池が1vs1の対応でほぼ何もさせなかった」と賞賛したように、ほとんどの場面において個人能力だけで封じてしまったのだ。
無論、だからといって彼の今後の成功が約束されたわけではない。元々の彼の持ち味は攻撃面にある。さらに上の高みを目指すのであれば、相手エースを封じるだけではなく、攻撃参加の場面でも存在感を発揮できるレベルに辿りつかなくてはならないだろう。しかし、柏の右サイドで一種の“ジャイアントキリング”を発生させたことは事実だ。
少なくとも筆者は、ポジションや状況こそ異なるものの、かつて長友佑都がFC東京の強化指定選手だった頃、当時東京ヴェルディで猛威を振るっていたフッキを完封した時のインパクトに似たものを感じた。
LB:松原后(清水エスパルス)
“マイアミの奇跡”の一員としても知られ、国内外の様々なクラブでプレーしたFW松原良香を叔父に持つ俊英。
日本人サイドバックには数少ない「攻撃力を備える大柄なレフティー」で、ゴール前に進入して放つシュートは「FW出身」という肩書きも頷ける破壊力。また、守備面では、182cm76kgの体格を活かした競り合いの強さと走力で清水DF陣を支えており、今後どのような選手へと成長していくかのか楽しみだ。ややクロスボールの精度にバラつきが見られるのは課題だが、現在のA代表組とは違った特長を持っており、そこを伸ばし続けて欲しいところである。
現時点に関して言えば、彼がすぐさま日の丸を身に付けるようなケースは考えにくいだろう。まだまだJリーグでの実績を積み重ねていく段階だ。だが、ここ1~2年で大きく飛躍する可能性は十分に持っている。