筆者の一分

筆者としてはグルメスポットの本と欧州サッカーの本を並列に考えないで欲しいと言いたい。藤原議員の指摘は大きくは間違ってはいないが、古いものに資料的価値があるかないかというのはそれこそジャンルによって違わないか?と。

私自身、今はやりのミニマリストに対して「マキシマリスト」を名乗っている。仕事のサッカーに関する書籍は半世紀前のものから含めて図書館以上の在庫数を所持しているし、趣味のCDは数千枚が富士山のように積み上がり、大好きな洋服はチョモランマのような峰を形成している。

そんなわけで、例えば15年前のラーメン本なんかも所持しているが、それらの大半は現在閉店してしまったお店であり現在に照らし合わせて使うことはできない。PCの本もWindows98、XPでは当然、役には立たない。だが、サッカーだけに限らずスポーツに関する書籍は現在活躍する選手の当時のデータ・雰囲気が知れる貴重な存在である。

古いラーメン本は古本屋に売っても値段が付かない。しかし、古いサッカー本は希少価値があり定価以上のプレミア価格が付いているものも少なくない。実際に私も90年代のサッカー本の多くは後から神保町の古書店やオークションを使って入手したものである。スポーツ分野においてインターネットが普及したのは早くなかった。それゆえ、インターネットで得られる情報やデータには限界がある。仕事で調べ物をする際には未だにこれらの本や古いビデオテープが“使える存在”であることは言うまでもない。

もっとわかりやすく言えば、古い『漫画』ならばどうだろう。手塚治虫の『火の鳥』や鳥山明の『DRAGON BALL』は古いから資料的価値がないと口を挟むものはいないだろう。

筆者の欲

一方で、筆者的に言うと図書館に納入されたからといって1円にもならないわけで、だとするならば、より良い本を献本したいという気持ちがある。上述の『欧州クラブサッカー解体新書1995~2005』は最後徹夜続きで、さらには自らDTPソフトを使い作成・校正を手伝った伝説の本である。となると、色々あった初版よりは…第二版、いや、10年後の今年「解体新書シリーズ」4作目となる続編『欧州クラブサッカー究極読本』が当時の内容を補完しているので、こちらを献本したいという書き手としての“欲”がある。

実際に『欧州クラブサッカー解体新書1995~2005』はまぁまぁ売れた。当時、サッカーのデータを取り扱う本はほとんどなく、我々が学生時代から集めていたデータをまとめた1つの形である。“初期衝動”という意味では評価されるべきなのかもしれないが、自分の目から見ると若さ故の“青さ”が小恥ずかしかったりも…。

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