オリンピックのサッカー競技には様々な制約が課せられている。

そこで今回は、編集部Sが考える5つの「謎ルール」をまとめてみよう。

1. なんで23歳以下限定なの?

スポーツの祭典として知られるオリンピック。

多くの競技では実質的に世界一を決める大会となっているが、男子サッカーはその側面が非常に弱い。なぜなら、出場選手に「23歳以下」という年齢制限があるからだ。

では、そもそもなぜサッカーだけ「年齢制限」というルールが設けられているのだろうか?

近代オリンピックはもともとアマチュアスポーツの大会であり、プロ選手の参加は認められていなかった。

その一方で、1904年に設立されたFIFAは1930年に第一回ワールドカップをウルグアイで開催。同大会には選手のプロ・アマの両方の選手が出場できたことから人気を集め発展していき、「世界一を決める大会」としての地盤を固めた。

すると1970年代には、オリンピックに関する規則「オリンピック憲章」からアマチュア規定を削除。1984年に開催されたロサンゼルス五輪からプロ選手を徐々に解禁する動きを見せたのだが、これを認めなかったのがFIFAだ。

プロ選手が五輪に出場することでワールドカップの存在意義が薄まるのを恐れたのだ。

IOCとFIFAによるそうした利害関係の対立があり、ロサンゼルス五輪ではプロ選手の出場が認められたものの、ワールドカップの予選および本大会に出場した選手に参加資格は与えられなかった。プロ選手の参加を容認したとは言え、これではアマチュア限定での大会とそれほど大差はない。

そうした両組織の妥協案が「23歳以下限定」というルールであった。

このルールは1992年のバルセロナ五輪から導入され、1996年のアトランタ五輪から3名のオーバーエイジ選手が認められた。

このように23歳以下という特別なルールは、五輪のサッカー競技をより魅力的なものにしたいというIOCとワールドカップの存在価値を守りたいFIFAが妥協し合った結果の産物である。そしてそれは、五輪より大きな大会が存在する男子サッカーならではの現象であるとも言える。

五輪であるにもかかわらず年齢制限というルールがあるのは不思議と言えば不思議だが、FIFAとIOCの関係を考えるとある程度仕方ない部分もあるのだ。

もしも小さなお子さんにその理由を尋ねられたら、「男子サッカー競技における五輪の存在意義は少し特別で、U-23世代の世界選手権という位置付けになっている」と教えてあげるのが手っ取り早いかもしれない。

ちなみに、今回のリオ五輪に出場できるのは1993年1月1日以降に生まれた選手となっている。

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