―さきほどオーバーエイジの話が出たので、霜田さんと監督のどちらにもお伺いしたいと思います。霜田さん、海外から帰ってこられていろいろ手倉森さんとコミュニケーションを取られてると思うんですけど、海外組のオーバーエイジというのはまだ選択肢の中に入っているのでしょうか?お二人の話の中でどういう状況かを言える範囲で教えていただければと思います。
監督、さきほど『U-23の世代を本大会で育てることを考えなければいけない』とお話をされていましたが、一応霜田さんは会見の以前、我々の前でのブリーフィングの中で『オーバーエイジを使う』と仰いましたが、監督の中でオーバーエイジを使わないという選択肢もあるのでしょうか?
手倉森「北京の時、使おうとして使わなかったっていうね。実際の経験がありますから、そういうのも起こりえるのかなと思っています。
U-23を育てたい、育成したいと。今このグループの中ではものすごく正しい競争が育まれている。だからこそこの短い期間で成長してきている。その可能性を見た時に、彼らでやり切るというのも一つの手段だなと思ってますけども。
オーバーエイジを使うというような話になれば、彼らはもっと成長スピードを高めなければいけないというね。そういうことも考えた時に、最初から使わないと言い切れないし。
U-23の選手たちに何があるんだというのを考えた時に、そこに対しての補強はオーバーエイジというルールがあるということに対して思いを置かなければいけない。幅を持たせるためにこういうことを進めてきました。
協会にもそうやって動いてもらっているし、いろんな情報を取ってね。最後は縁のある人がここに組み込まれるだろうな、という話をしています」
霜田「現場は監督以下選手、スタッフ、そして日本のサッカーを応援していただいている皆さんがオリンピックで活躍してほしい、メダルを取ってほしいということが一番だと思いますので、僕らはいろんな情報を取りながら、手倉森監督が欲しいという選手をなるべく揃えられるような努力はやれることは何でもやりたいなと思っています。
と同時に、先日ヨーロッパに行ってオリンピックに対するヨーロッパのクラブの肌感覚というか常識みたいなところも(聞いてきました)。
今4年前と確実に違って言えるのは、23歳という年代が世界の中では若手ではないということです。23歳以下でビッグクラブのレギュラーを取っている選手たちは、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグの予備予選の方がオリンピックよりも大事だという現実があります。
実際にポルトガルやドイツの連盟の人と話をしても、23歳ですら本当に呼べるかどうか分からないという現実があります。Jリーグは日本の国の中で『オリンピックには協力しましょう』ということで、期間中Jリーグは止まりませんけども、オリンピックに選手を出していただける。国をあげてオリンピックチームを応援して戦ってこいよ、と言ってくれる。
その中で選手もクラブも行って来いと言ってくれるようなオーバーエイジの選手が望ましいと思っていますし、海外組は選手が『どうしても行きたい、オリンピックで力を貸したい』と言っても、僕の交渉の力ももちろんそうなんですけども、そういうクラブでルールを剥がしてでもこちらに引っ張ってくるということが可能かどうか。
先日も言いましたけれども、もし現場がトライをしてほしいということであればそれはトライはします。なので日程でリミットでギリギリ決まっているまで現場と話をして、監督がどうしてもこの選手をオーバーエイジとして連れて行きたい(と言うのであれば)、それが海外のクラブであっても一度交渉はしたいと思っています。
ただそういう現実と同時に、理想と現実のギャップの間のでチーム編成をしなければいけないのがこのアンダーカテゴリーの代表チームの宿命みたいなところがありますから、それも合わせて皆さんにご理解いただいたなかで最善を尽くしたいと思っています。
オーバーエイジに関してはまだまだいろんな局面が出くると思いますので、そっと見守っていただければと思います」