“ペスカド”(小魚)の愛称を持つカルロス・ルイスは37歳。
ロサンゼルス・ギャラクシー(アメリカ)に所属していた2002年に24ゴールを記録し、MLSの最優秀選手と得点王を獲得したストライカーで、母国以外にアメリカ、カナダ、メキシコ、パラグアイ、ギリシャでプレーした経験を持つ、北中米を代表する選手である。
グアテマラ代表でも主将、エースとして1998年から20年近く活躍しており、アメリカ戦の得点で通算(126試合)60ゴールとした。
ルイスは紛れもなく同国史上最高のスター選手であり、国民的英雄だ。
…が、驚くことにルイスは現在家賃を滞納しており、同国の裁判所から出国禁止を命じられていたのである。
これほどのスーパースターが家賃滞納って……
実は今回、32歳の同代表DFハミルトン・ロペスもアメリカ政府からビザの発給を拒否されていた。ロペスはアメリカへ旅行した2002年に不法滞在した過去があり、2012年に5年間の入国禁止処分を受けていたためである。
これらの件に関してグアテマラサッカー連盟は裁判所に申し立てを行い、特例でルイスとロペスの出国を許可するように懇願した。そして試合前日の28日、連盟は2人の出国が許可されたとの声明を発表する。
やった!これで試合に出られる!さっそく身支度をしアメリカへGO!
…と喜んだのも束の間、なんとその数時間後、裁判所はルイスに関して「書類のサインは29日に押すから」という判断を下した。
アメリカ戦が行われるのはその29日である。「それじゃ間に合わねぇだろ!」というツッコミも虚しく、味方を背後から討つかの如く無慈悲な決定によりルイスは母国に残ることになり、ロペス1人がチャーター機に乗ってアメリカに向かうこととなった。
俄かに信じ難い理由で大エースを欠くことになってしまったグアテマラ。試合は日本時間30日朝に行われるが、果たしてどのような結末を迎えるだろうか。