スタートで成功した「セグルト・アフガン」
ペタル・セグルト監督が最初に戦ったのは、11月12日に行われたカンボジアとのワールドカップ予選だ。この試合では3-0と勝利を収めることに成功し、好スタートを切った。
おそらくアフガニスタンサッカー連盟が最も重視したのは、この後行われたSAFFスズキカップ(南アジアサッカー選手権)であろう。
前回大会の王者として大会に臨んだアフガニスタンは、バングラデシュ、ブータンに大勝。さらに強豪モルディブにも4得点を決めて退けた。
決勝トーナメントでもスリランカを5-0で破り決勝へと進出。インドとのファイナルでも攻撃を仕掛けるなど成長を見せ、延長戦まで耐えた。1-2で敗れたものの、チームの好調さは明らかだった。
スケレジッチ体制とはそれほど大きな変化はない。しかし、その中でもいくつかの相違はある。
1つはフォーメーションだ。左右非対称の3バックなど難しいシステムを使っていたスケレジッチ体制と比べ、形はほぼ4-3-3か4-2-3-1に固定されている。アレンジはボランチを2枚にするかどうかくらいだ。
もう1つはメンバーだ。さらにヨーロッパでプレーしている選手が増加しており、もはやそのほとんどが欧州へと逃れていった者、あるいはその息子たちになっている。
チームの能力はさらに上がっている。以前から備えていたフィジカルとスピードを生かす一方、テクニック面でも向上し、インドにも引けを取らないパスワークを見せるようになった。
その一方で、守備の雑さという弱点は残っている。日本という格上相手にはそこが問題になってくるだろう。
ちなみに、これだけ苦しい国内の状況がありながらも代表チームが活発に活動できるのは、中東に散らばった裕福なアフガン人から寄付や支援が集まっているためだ。その基盤があるからこそ、彼らは成長を続けているのである。