『Evening Times』は「ダンバートンに所属しているFWクレル・ハーは、週末のダンディー戦に向けて意欲を語った」と報じた。
クレル・ハーは1996年生まれの19歳。彼はミャンマーにルーツを持っているものの、軍事政権による少数派弾圧を避けて国を脱出した両親の元、タイの難民キャンプで生まれたという出自がある珍しい選手だ。
10歳の時にゲートウェイ保護計画の元でイングランドへと渡り、シェフィールド・ユナイテッドの下部組織に入団。
昨年初のプロ契約を結び、今月スコットランド2部のダンバートンへとレンタル移籍し、シニアの選手としてのデビューも飾ることに成功した。
6日にはカップ戦でプレミアリーグ所属のダンディーFC(川島が所属している方ではない)と対戦することが決まっており、ダンバートンにとっては非常に大きな試合を迎えることになる。
そこでの出場を目指すクレル・ハーは取材に対して以下のように話し、難民キャンプでの生活、そして成功への欲望などについて語った。
なお、ミャンマーは二重国籍を認めていないため、クレル・ハーが代表入りするためには出生地であるタイ、育った地であるイングランドの国籍を捨てなければならない。
ラオス系フランス人のビリー・ケトケオポムポンと同じく、他の国で生まれた選手にとっては、二重国籍を認めていない国への代表入りは非常に高いハードルがある。
クレル・ハー
「僕は何も知らなかったが、あの村での生活から抜け出せるのは、友人とボールを蹴ることだけだったんだ。
我々はスパイクも靴も持っていなかった。だから裸足でプレーすることには慣れていた。自分たちが直面してた難しい状況から抜け出すために、サッカーは助けになってくれた。
家族――僕は弟と二人の妹がいるけど、皆一緒に竹で出来た小屋に暮らしていた。その環境はとても厳しいものだったよ。
難民キャンプはまるで刑務所のようなんだ。そこを出るチャンスは何もないように見えた。
父のカウムーは近くの街で運転手を務めてお金を稼いでいた。母のモエマエカインは、僕や弟、妹の面倒を見ていた。皆僕よりも小さかったしね」