堅守からの縦へのスピード
今季、愛媛FCは守備の主力であった渡邊一仁、ハン・ヒフンらを放出。守備面でも苦しむことが予想されたが今季の失点は39、この数字はJ2でも5位タイのものであり、昨シーズン58失点を喫したチームは大きく変わった。
木山隆之監督は「今季は、ボールを取られたら徹底して奪い返しにいくような積極的なプレーやハードワークを大切にしてきた」と語る。
それは、試合後のコメントにも表れている。今月1日のFC岐阜との試合後には「後ろでコンパクトにした状態から前向きの守備をした」、8月の大宮戦後は「引いて守るようなや戦い方をするのではなく、しっかりプレッシャーをかけていこうと」と繰り返し同じような内容を語っているのだ。こうした前からアグレッシブにプレッシャーをかけていくのが今季の愛媛FCの守備の良さの特徴である。
上記はアビスパ福岡との試合の1シーンである。木山監督率いる今季の愛媛は3-4-2-1のシステムを取ることが多いが、3バック+中盤の2枚のMFが確実に守備をしそこから縦への速いカウンターを意識しているように見える。
特に攻撃面では他チームように「スケールの大きな外国人ストライカー」がいない。外国人に頼ることはできないが、西田剛、瀬沼優司が前線で体を張り、シャドウストライカーの河原和寿、近藤貴司らが裏へ抜けたり、ドリブル突破をする。この一連のスタイルで色んなメンバーが得点を狙えるチームへと進化したのだ。木山監督はたびたび「攻守の切り替え」「ボールを動かす」ことを口にしているが、結果として縦に速い攻撃や両サイドからのクロスを実現している。
こうした「球際をアグレッシブに闘う」「縦に速い攻撃」というキーワードは、大げさに言うならば、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督が日本代表で目指しているものと通じるところがあるのかもしれない。