5月18日、『BBC』は「カタールで労働問題を取材していたBBCの取材チームが逮捕され、4日間拘留された」と発表した。BBCの訴えにより、国際サッカー連盟は調査を行っていると答えている。
記事によればBBCの調査チームは今月初め、カタール政府から招待を受け、ネパールからの出稼ぎ労働者がどのような生活を行っているかを取材するために訪問。
当然ながら政府からの許可も受けており、ワールドカップに向けて建設されているスタジアムの作業現場で取材を行っていた。
ところが取材を初めて2日目の移動中に突然8台の車に囲まれ、記者、カメラマン、通訳、ドライバーは身体検査を受けた後、個別に「敵対的な」尋問を受けたとのこと。
彼らは「国家安全保障の問題」と説明を受け、2日間尾行されていた証拠となる写真も見せられたという。そして、地元の刑務所に連れて行かれたあと、13時間にわたって取り調べを受けた。そこでは「ここはディズニーランドではない。どこでもカメラを出して良いわけではない」と説明を受けたとのことだ。
4日間刑務所で拘留された後に記者達は解放されたものの、国外への渡航が禁止されていたため長い間英国に帰ることは出来なかった。そして、没収されたカメラやパソコンなどはまだ戻ってきていない。
カタールでは先日ドキュメンタリーを撮影していたドイツのクルーが逮捕された事件が大きな話題になったばかり。
アネムスティ・インターナショナルの湾岸移民研究者であるムスタファ・カドリ氏は、「移民労働者の問題を露出させたいと考えている人たちへの威嚇ではないか」と推測している。
なお、カタール側の声明では「多くの国と同じように私有地に侵入することは犯罪であり、治安部隊が呼ばれ、BBCのクルーは拘束された」と説明されている。