ジェノアへ移籍
2011年の夏にパルマからジェノアに移籍、4年契約170万ユーロ(当時、約1億9500万円)で保有権の半分を買い取られた。これは、パルマの財政難が原因であると思われる。会計年度が終わる2日前の移籍でありすぐにローンの形でパルマへ復帰している。ジェノアがパルマに手助けをした格好だろうか。
パルマへ"復帰"したマンゾーニであるが、第三GKの立場はインテルから移籍してきたアルベルト・ガッリネッタがおり、再び背番号が与えられることはなく1シーズンを過ごした。
ローン期間が終了してジェノアに戻ったマンゾーニであるが、ジェノアではセバスティアン・フレイ以下GKが既に5名おり"第6GK"扱いに。2012-13、2013-14、2014-15シーズンと3年連続で背番号が与えられることはなく、一方で契約を解除されることもなく今季で4年契約の終わりを迎えようとしている。
現在のマンゾーニはジェノアとパルマが破産したこともあってかロブル・シエナとの共同保有となっている。しかし、ロブル・シエナでもプレーした形跡はない。
幽霊選手が生まれる理由
こうしたマンゾーニのキャリアについてwikipediaでは「幽霊選手(Ghost Player)」と表現をした見出しがついている。
一体、何故この様なことが起こり得るのだろうか?イタリアサッカー界の構造について見てみようと思う。
先日、破産したパルマの保有選手が「200人以上である」ことをお届けした。現在のイタリアサッカー界ではビッグクラブが多くの選手を保有し、そこからローンの形で中小クラブに1年ないしは半年というタームで貸し出されるのが通常となっている。
ビッグクラブが100人近い選手を抱えるのが"通常営業"なのに対して、セリエBクラスのチームでもレンタル選手がいなければスタメンもきっちり組めない様なクラブが恒常化している。
90年代までのセリエAといえば(イングランドと比較すれば)割と少ない人数でチームを固定しローンも1年単位のものが多かったが、今では若手選手は年に2チームローンへ出されるのは当たり前で仮にローン先で出番がなければすぐに"他のアテ"を探す様な状況になっている。加えてイタリア特有の事情として共同保有制度があり、選手の権利を切り売りしているのだから事態はより複雑だ。
とはいえ、マンゾーニの例は非常に稀有である。背番号が与えられない場合、多くの選手は契約を解除するかローンの形で他チームへ移籍していくからだ。例えば、かつてナポリで活躍したサルヴァトーレ・アロニカは昨シーズン、今シーズンとパレルモで背番号が与えられなかったが、冬にレッジーナへ移籍している。そう考えると、マンゾーニには移籍をせずにジェノアへ留まるだけの理由があるのかもしれない。
ディエゴ・マンゾーニは今、何をしているのだろうか?twitterやFacebookでも彼を見つけることはできず、その全容は謎に包まれている。今季で4年契約終了となるだけに移籍市場でちょっと気になる存在である。