KAGAWAスタイル
以下は、ドルトムントMF陣のタックルの総数、成功率などを記載した表である。
チームメイトと比較すると、香川のタックル数は試合数の割に明らかに少ないことがわかるだろう。
成功率こそ高いが、タックルを仕掛けている数は極めて少ない。香川の守備に対するスタンスは「普段は距離を縮めることで対応」、「確実にボールを奪える時にタックルに行く」というものだということがなんとなくわかるだろう。
同じポジションで守備に奔走する選手の代表例としてチェルシーMFオスカル(ブラジル代表)がいる。オスカルは昨シーズン、今シーズン共に1試合のタックル平均は約2本、ブラジルワールドカップにおいては1試合平均3.7本である。
チェルシーとドルトムントのスタイルの違いはあるが、前線からプレスを仕掛けていくチェルシーよりもドルトムントの方が今季のタックル数は多く欧州で18位となっている。香川がチームスタイルからタックルをしてないわけではない。
そこで浮上するのが、セレッソ大阪の恩師レヴィー・クルピの教えを守っているのではないか?という仮説である。
クルピの教え、モイーズの教え
クルピ時代のセレッソ大阪はスライディングタックルを特に嫌い、J1でも屈指のタックル数の少なさを誇った(タックル数最下位を記録したシーズンもある)。
クルピは自身の著書『伸ばす力 レヴィー・クルピ 世界で輝く「日本人選手」育成レシピ』の中で以下の様な内容を述べている。
スライディング・タックルはできるだけ避けるよう選手に伝える(現役時代に試合中にスライディング・タックルを試みたチームメイトが相手選手の膝が頭に入り死亡する事故があったため) 。
仮にタックルを外されたら相手選手に完全に置いてゆかれ、決定的なピンチを招く。
一方で、マンチェスター・ユナイテッドの前監督デイヴィッド・モイーズはタックルを好んだ。香川もそれに順応しようと1試合に5本のタックル数を記録した試合もあった。
最後にアジアカップのデータも振り返っておこう。