お二人のサッカー漫画家の先生方をお招きし、それぞれの漫画のテーマを元に日本サッカーの発展について語った討論企画の様子をお伝えします。
参加してくださったのは、『ビックコミックスペリオール』にて『フットボールネーション』を連載中の 大武ユキ先生 (@YUKI_OTAKE)。 そして、『ビックコミックスピリッツ』にて『夕空のクライフイズム』を連載中の 手原和憲先生(@taharakazunori)。
司会進行は db7さん(@db7seven)と、結城康平(@yuukikohei)。 そのアシスタントと、編集を担当した 黒崎灯(@PLfanpageJP)。
さらに、両作品の読者でサッカーファンである うくらさん(@ucla0113)と、大学卒業後現在はスポーツトレーナーを目指されてご活躍中の宮山さん(@T_Miyayama)の計5名。
・座談会第3回の概要は・・・
「プレミア、Jリーグのドリブラーについての話題から発展し、『守備』という日本サッカーにとって相当重要になるテーマへ。身体的な視点から、『世界で求められる守備』について議論を深めていきます。また、日本人らしくない選手、についての話題も。今回も盛り沢山の内容を、お楽しみください。」
db7「そういえば、イングランドの育成といえば現地にいる黒崎君が詳しそうですよね。結城君も言ってたけど、プレミアのドリブラーについてはちょっと気になるところです」
結城「そうですね。黒崎君は、ちょうどユースの試合をこの間取材に行ってたので、その時の感想を聞いてみましょう」
黒崎:「アタッカーで、上半身屈める子は多いですね。FAのYouth Cupを見に行ったんですけど、目立っていたドリブラーは前屈みになっている選手が多かったんですよね。やっぱりサイドを縦に突破するような動きがメインで、あまり視野を保てている感じではない」
db7「イギリスに、『フットボールネーション』を売り込みに行きましょう!!」
大武 「以前、『イングランドで出さないの?』って知り合いに聞かれたことはありますけどね。アジア向けにいくつか翻訳版が出ているんですけど、シンガポール版が英語なんですよ。なので、そこからイングランドに持っていくのであれば、ハードルは下がったかなと(笑)」
結城「ただ、黒崎君と僕は現地にいるので良く解っているとは思うんですけど、イギリス人はフットボールに関してはプライドが凄いですからねえ…(笑)日本どころか、他の国からのアドバイスでも真面目に聞くのかは怪しい」
黒崎「そうですよね…(笑)」
結城「そういう観点から考えると、プレミアリーグという環境ではきちっと身体が縦に伸びるドリブラーを継続的に育成するのは難しそうですよね」
黒崎「ちなみに質問なんですが、Jリーグって、『ドリブラーが育つ基盤』なんですかね? プレミアリーグと比べると、良いドリブラーが生まれやすい土壌にはなっているのか、どうなのか」
大武 「Jリーグのドリブラーて、小粒な選手が多いですよね」
手原「斉藤学にしろ、身体は小さいですよね」
結城「小さな身体でボールを守るという意識が強いからか、前屈みの選手が多いイメージもありますね。視野が広いドリブラー、って日本では余りイメージ出来ない」
宮山 「『夕空のクライフイズム』で言えば、アルゼンチン型のドリブラーが多いって感じですかね?」
手原「そうですね。スキルを連発するというよりは、細かいタッチを好んでいるっていうのはあるかもですね。後、野洲高校とかが有名ですけど、日本のドリブラーだなっていう選手は高校から出てきているような気がします」
db7「プレミアでいうと、宮市君とかはどうなんだろうね?」
結城「宮市君は、基本的な姿勢自体は結構良いと思うんですけど、意識が前に向きすぎている感じなんですよね。そういう意味では、前傾ドリブラーに近いですよね。結果的に視野が保てない感じにはなってしまっているので」
手原「後、日本には『中央からドリブルをする選手』って、比較的少ないっていう気はしますね。それは、さっきの話との関連で、視野が保てていないということなのかもしれないなと。中央の狭いスペースを見つける上で、視野が保てていないと難しい」