気付けば、彼らの居場所はスコットランドのトップリーグには無かった。リーグ全体が競争力を高めていくと共に、アマチュアだけのチームは勢いを失い、2部リーグが彼らの定位置になった。なんとか1部に昇格することがあっても、セルティックとレンジャーズの圧倒的な力、そして新興勢力の勢いに飲み込まれた。
それでも、元プロ選手の復帰や、プロチームに給与を保障して貰った上でのレンタル制度などが、アマチュアとして孤独に戦い続ける彼らを讃えるかのように、徐々に認められていった。下部リーグで戦い続けたQueen's Park Football Clubは、何度もジャイアント・キリングを起こし続けた。
「そして、紳士たちが集ったあの日から140年以上が経った。今でもQueen's Park Football Clubはフットボールを愛し、戦い続けている。例え、以前のように圧倒的でなくとも、Queen's Park Football Clubは相手を苦しめるだけの強さを保ち続けている」
*公式サイトから引用
「我々は、フットボールを愛するからこそプレーするんだ」
「五つ星のスタジアムと、最高レベルの練習場。このクラブには、誇るべきものがある」
道すがら出会った陽気なQueen's Park Football Clubのサポーター達は声高らかに語り、そして歌い続けた。彼らは現在4部相当のスコットランド・リーグ2に所属。それでも彼らは「世界で唯一、プロリーグに所属するアマチュアクラブ」なのだ。
珍しく晴れたグラスゴーの空に、彼らの歌はいつまでも響き続けた。まるでそれが、彼らの生き様であり、フットボールクラブとしての1つの形なのだとでも僕らに伝えるように。
*写真はハムデン・パークに隣接する練習場。ハムデン・パークと全く同じ広さになっており、芝の質も最高レベル。
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