100年以上守られてきたバスク純血主義という哲学は、実は定義というものが厳密には存在せずに、また明文化もされていない。近年その縛りが緩やかになってきているが、それでも最低限の規定がある。

(1)バスク地方出身者

バスク州のビスカヤ、アラバ、ギプスコアかナバーラ州かフランス領バスクの出身者であれば、ビルバオでプレーが出来る。リザラズはこのケースに当てはまる。

(2)親がバスク人

以前、アルゼンチン代表のイグアインに興味を寄せているという報道があったが、これはイグアインの父親がフランス・バスクの血を引いているからであった。

(3)フベニール(U-19)以下の育成年代でバスク地方のクラブでプレーした経験がある。

以上のどれかを満たせば入団が可能とのことであり、哲学の拡大解釈は近年進んでいる。

日本人がビルバオでプレーするには(3)の規定が一番可能性として高いだろう。フベニール以下つまりカデーテ(U-16)やインファンティル(U-14)等でバスク地方のクラブでプレーした後に(具体的な年数は明記されておらず)、ビルバオのスカウトの目に留まればめでたく入団が出来る。こうして文字に起こすことは簡単であるが、現実的にはなかなか難しい。リーガ・エスパニョーラは外国人枠(EU圏外選手)が3名と非常に少ない。

その甲斐もあって育成大国としてスペインは世界を席巻しているわけであるが(横道に外れるが、2013-2014シーズンのプリメーラに所属しているクラブのカンテラ出身選手数はバルセロナ17名、ビルバオ17名、とトップを仲良く分け、最下位はエルチェの0名であった)。

日本人がその貴重な枠に入るのは至難の業であろう。それでもいつの日か、あの紅白の縦縞のシャツを着て、要塞サン・マメス・バリアをホームとする日本人が出てくることを期待したい。


筆者名:古家政夫

プロフィール:
初めてフットボールに触れたのは98年仏W杯から。Jリーグ、プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラを中心に観戦する日々を送る。最後まで読んで頂けるような文章を書けたらな、とその道を模索中。

ツイッター: @505room

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