8月1日、各国ビッグリーグの中でいち早くフランスの2部が開幕を迎える。今夏のフランスリーグでは多くのクラブが経済的な問題を抱えることになり、オフシーズンには様々な影響が出ていた。
2部に直接影響があるところではRCランス、ヴァランシエンヌ、そしてリュゼナックの動向であった。
昨季2部で2位に入っていたRCランスは、オーナーからの入金が滞ったために予算が保障されないとして昇格を保留されていた。ソショーが代わりにリーグ・アンに残留するという話もあったが、最終的にはギリギリでRCランスが許可を勝ち取り、1部での戦いに臨めることになった。
そしてヴァランシエンヌは破産のために3~4部降格という話が決定していたものの、その後係争の末に最低限の資金の調達と予算の削減が認められ、批判はあったものの2部に残留が決定。綱渡り状態の経済状態はクラブにとって相当に厳しいものになるだろうが、今季は少なくともリーグ・ドゥでの戦いが可能になった。
最後は昨季3部にあたるナショナルリーグで2位に入ったリュゼナックだ。かつてフランス代表として活躍したGKファビアン・バルテズがCEOを務めるこのクラブは、人口僅か600人という小さな自治体にある小さなチーム。
初のプロリーグ挑戦に意欲を燃やしていたが、連盟は経済的基盤の弱さから昇格を不許可に。クラブは最後の最後まで争っていたものの、LFP(フランスプロサッカーリーグ協会)、FFF(フランスサッカー連盟)、CNOSF(フランス国立オリンピック委員会)の全てから前向きな返事をもらえずに終わった。
ところが開幕当日になってトゥールーズ行政裁判所が各連盟の判断は無効という判決を下し、最後の最後で逆転。リーグ・ドゥへの切符を手に入れた。これによって今季は21チームで争われる可能性が高くなった。
また、クレルモン・フットには今夏欧州男子プロサッカー界初の女性監督となるコリーヌ・ディアクルが就任(正確には前任のエレナ・コスタがそうであるが、開幕前に退任しているため、実戦という意味では初)。今季どのような結果が出てくるのかは非常に楽しみなところである。
優勝候補はやはり昨季リーグ・アンからギリギリで降格してきたソショーであるが、コルシアやプルチッチ、マユカ、カンテ、ププラン、ピュイベルヌ、カルロン、シンカラ、マランジュ、イクマイエなど既に大量の選手を放出しており、力を発揮できるかどうかはかなり疑わしい。
かといって他に優勝候補がいるかというと、各クラブの実力が拮抗しており、補強も決して目玉と言えるようなものがない。
昨季と全く変わらないトゥールはまだエースFWアンディ・ドゥロールの去就が読めず、昨季旋風を巻き起こしたニオールはそもそもクラブの体力が大きくない。オセールはブビ、ピュイグルニエ、ナバブとまた今季も経験ある選手を取ってきているが、昨年の結果を見れば信用しきれない。
アルルとブレスト、ナンシーも補強はしているが、それ以上に重要な選手が抜けている。アンジェは現状明らかにストライカー不足。強いて言えばディジョンとアジャクシオが安定している程度だ。いつも以上に本命不在のリーグ・ドゥは今季も面白い展開となりそうだ。
本日20:00(日本時間では明日3:00)、来年5月22日まで続く全38節の長い戦いがついに幕を開ける。