現代表マイケルの実父ボブ・ブラッドリーの後を受け2011年7月に現職に就いたユルゲン・クリンスマン。現役時代はイタリア、イングランド他で国際的に活躍、西ドイツ代表のキャプテンとして1990年ワールドカップ等を制した伝説的なストライカーで、指導者としても2006年自国開催のドイツを率いてベスト4を達成。その後、バイエルン・ミュンヘンでも指揮していた。

ドイツ代表では現監督のヨアヒム・レーフをアシスタントに従え、近代的で組織立ったプレッシングに高いDFラインを用いて攻撃的なサッカーを実施。心理学トレーニング、交渉用の専門マネージャーの採用、クラシカルなGKだったオリヴァー・カーンを外しイェンス・レーマンを起用するなど革新的なアイディアを次々に取り入れた。その手法に加えてドイツではなくアメリカに住居を構え、最終ラインがいつまで経っても安定しない点から国内では批判も多かったが、ワールドカップ本大会で見事3位に輝くと一転賞賛を浴びることとなった。

クリンスマンはアメリカ代表でも従来とは違う主体的なスタイルへの変更に着手する。主体的、つまりそれはこの10年以上ブルース・アリーナ、ボブ・ブラッドリーと引き継がれ、ワールドカップやコンフェデといった大舞台で結果を残してきたアメリカ伝統の堅守速攻から脱却することであった。彼はドイツ時代と同様、アメリカでも挑戦的な道を選んだのだ。