2011-12 欧州クラブの補強戦略を占う!! vol.6 (ミラン編)

日々、様々な移籍、退団の話が飛び交う中、Qoly編集部ではその情報を吟味した上で、大胆にも来季の欧州クラブの補強戦略を占ってみることにした。第六弾はミラン編!!

今季を振り返る

2010-11 ミラン フォーメーション

18度目のスクデットを獲得したミラン。今季、その強さを生んだ源は守備力にあったと考えて間違いないだろう。多くの選手達が語る様にチャンピオンズリーグのレアル・マドリー戦がチームのターニングポイントとなった。それまで4-3-1-2と4-3-3を併用する様なスタイルを採用していたが、アッレグリは攻撃偏重を避け、この試合を機にバランス重視に舵を切る。レアル戦以降は4-3-1-2で固定され、ロナウジーニョは出番を失って移籍。ピルロの定位置であった中盤の底は守備力の高い選手を優先して起用された。

この方針転換は「守備の強いチームが勝つ」と評されるセリエAで見事な成果を挙げる事に成功したが、チャンピオンズリーグでの物足りなさは残り、来季はスクデット連覇とチャンピオンズリーグでの活躍が求められる事となった。

現在、スクデット獲得が決まっているクラブは来季へ向けた動きを開始している。第37節、ホームのサン・シーロでの優勝報告会を終えた直後には主力選手達が契約更改交渉を行い、ピルロの退団が正式に決定。その他のベテラン選手達は概ね残留が決まり、依然として契約延長交渉を続けているのはセードルフのみに。また、既に新戦力としてメクセス、タイウォの加入が決まっている。

来季を展望する

2011-12 ミラン フォーメーション

まず、今夏の移籍市場でのテーマは、なるべく保有戦力をを維持させた上でのクオリティアップを図る事になるが、アッレグリが求めている様に飽和状態になりつつあるトップチームの頭数の削減は不可欠であり、出番の殆どなかった選手達は放出またはレンタルで移籍する事になるだろう。このクラブは伝統的にヨーロッパで名の売れている若手有力株を獲得する事が少なく、フリートランスファーを率先して用いる傾向にあるが、既に決まった移籍などを踏まえながら来季の陣容をポジション別に展望しよう。

まずGKは今季抜群の安定感を示したアッビアーティで問題はない。鋭い反射神経で幾度となくチームのピンチを救った。第二GKはアメーリアが務めたが、ここは退団(レンタルバック)する可能性が浮上しており、その後釜には、移籍問題でクラブと揉め、1年間干されたマルケッティ(カッリャリ)を据えたいようだ。

また、シーズン通して磨き上げられたDFラインにはメクセス(ローマ)、タイウォ(マルセイユ)の加入が決まっている。メクセスは契約を1年延長したネスタと併用される事になるだろう。ネスタ本人が「週2試合戦うのは厳しい」と体力的な不安を認めている中、フランス代表CBはバックアッパー以上の働きを見せてくれるだろう。その他では、SBもこなすボネーラは残留が濃厚。人気者のジェペスは控えの立場を理解しているが、獲得を検討していると言われているアストーリ(カッリャリ)が加わる場合、クラブは放出を決断か。なお、1月に加入したレグロッタッリェは退団が確定的。パパスタソプーロスについてはブレーメンなどへの移籍が噂されている。

SBはヤンクロフスキの退団が決定しているが、このポジションはタイウォを確保済み。圧倒的な攻撃力を備えるナイジェリア代表DFに加え、アバーテ、ザンブロッタ、アントニーニ、ボネーラらで回していくことになるが、いずれも攻と守の特徴がはっきりしたSBであり、チャンピオンズリーグで戦うには少し物足りない顔ぶれであると言わざるを得ない。出来ることならば、バルザレッティ、カッサーニ(共にパレルモ)、または可能性は低いがセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)を引き入れたいところ。しかし、これまでの歴史を振り返ってみてもこのクラブが守備陣に補強費を回したことはあまりない。これ以上、目立った加入はないと見ていいだろう。

中盤に関しては、明言こそ避けられているが、メインターゲットはガンソ(サントス)で間違いない。EUパスポートを所持していない為、同パスポートを申請中のタイウォ次第という状況であるが、水面下で動き続けていることはずだ。また、システムは、今季同様にアンカーに守備的な選手を置くシステムの継続が予想されるが、左右のインサイドハーフには攻守両面でのクオリティが求められる。契約交渉中のセードルフは、今季は2列目から2.5列目という本来のポジションに復帰した事で復活。抜群のボールキープ力やインテリジェンス溢れるプレーで後半戦の快進撃を支えた。左サイドでのプレーに馴染めなかったピルロとセードルフが同時に退団してしまうとミランの左サイドには大きな穴が空くことになるため、彼が残留するか否かで補強ポイントが大きく変わるだろう。セードルフが退団した場合は左サイドのレギュラーを任せられる選手の獲得、残留した場合は将来性を見越した上での補強に動くと思われるが、ジェノアとの共同保有であるボアテングは左サイドや右サイドで使う事もアッレグリの頭の中にはあるはず。候補に挙がっている、ハムシーク(ナポリ)、アサモア(ウディネーゼ)も楽しみな存在であるが、多額な資金が求められるため、まずはボアテングの確保を完了させた上で考えたいところだ。

最後にFWについてだが、レンタル中であったイブラヒモヴィッチを買い取るだけで全く補強の必要性の無いポジションと見ていいだろう。しかし、カッサーノについては流動的だ。イブラ、パト、ロビーニョに次ぐ4番手となる事は明白であり、ロビーニョがトップ下をこなすケースも考えられるとはいえ、4番手では多くの出番が期待できない事にフラストレーションを募らせる可能性を秘めている。EURO2012直前のシーズンであり、さらに重鎮インザーギも控えていることを考えると移籍を志願する可能性も大いにあるだろう。

入団候補リスト

ポジション 名前 国籍/代表歴 現所属 予想市場価格 入団の可能性 備考
OH ガンソ(21歳) ブラジル代表 サントス 1200万竄ャ 70%
OH/ST/SH エリク・マヌエル・ラメラ(19歳) アルゼンチン代表 リーベル・プレート 1800万竄ャ 20%
OH/ST カカ(29歳) ブラジル代表 R・マドリー 4500万竄ャ 10%
OH/ST ラファエル・ファン・デル・ファールト(28歳) オランダ代表 トッテナム 2000万竄ャ 10%
OH/CH アンドレア・ラッツァリ(26歳) イタリア代表 カッリャリ 550万竄ャ 20%
OH/CH セスク・ファブレガス(24歳) スペイン代表 アーセナル 4000万竄ャ 5%
OH/SH/CH/DH エルナネス(25歳) ブラジル代表 ラツィオ 1200万竄ャ 30%
OH/SH/CH/DH クワドウォ・アサモア(22歳) ガーナ代表 ウディネーゼ 750万竄ャ 50%
CH/OH/SH/DH マレク・ハムシーク(23歳) スロバキア代表 ナポリ 2400万竄ャ 20%
CH/OH/SH ケヴィン=プリンス・ボアテング(24歳) ガーナ代表 ミラン 1000万竄ャ 80% ジェノアからローンアウト中
CH ギョクハン・インラー(26歳) スイス代表 ウディネーゼ 1300万竄ャ 20%
DH フェルナンド(23歳) ブラジル ポルト 1100万竄ャ 30%
DH/CH マイケル・エシエン(28歳) ガーナ代表 チェルシー 3600万竄ャ 10%
DH/CH サンドロ(22歳) ブラジル トッテナム 800万竄ャ 30%
SB フェデリーコ・バルザレッティ(29歳) イタリア代表 パレルモ 600万竄ャ 10%
SB タイェ・タイウォ(26歳) ナイジェリア代表 マルセイユ 100% 契約満了
CB/SB/DH ヤン・ヴェルトンゲン(24歳) ベルギー代表 アヤックス 1000万竄ャ 30%
CB フィリップ・メクセス(29歳) フランス代表 ローマ 100% 契約満了
CB ダヴィデ・アストーリ(24歳) イタリア代表 カッリャリ 500万竄ャ 60%
GK フェデリコ・マルケッティ(28歳) イタリア代表 カッリャリ 600万竄ャ 60%

退団候補リスト

ポジション 名前 国籍/代表歴 噂される移籍先 予想市場価格 退団の可能性 備考
CF ズラタン・イブラヒモヴィッチ(29歳) スウェーデン代表 マンチェスター・Cなど 2500万竄ャ 20%
CH/OH/SH ケヴィン=プリンス・ボアテング(24歳) ガーナ代表 ジェノア 1000万竄ャ 20% レンタルバック
CH/OH/DH クラレンス・セードルフ(35歳) 元オランダ代表 コリンチャンスなど 30% 契約満了
DH/CH/SB マチュ・フラミニ(27歳) 元フランス代表 トッテナムなど 20%
DH/CH/OH アンドレア・ピルロ(32歳) イタリア代表 ユヴェントスなど 100% 契約満了
SB/SH/CH マレク・ヤンクロフスキ(34歳) 元チェコ代表 チェコ方面 90% 契約満了
SB マッシモ・オッド(34歳) 元イタリア代表 イタリア方面 100万竄ャ 50%
CB/SB ソクラティス・パパスタソプロス(22歳) ギリシャ代表 ブレーメン、HSVなど 600万竄ャ 70%
CB/SB ダニエレ・ボネーラ(29歳) 元イタリア代表 イタリア方面 400万竄ャ 20%
CB ニコラ・レグロッタッリェ(34歳) 元イタリア代表 イタリア方面 80% 契約満了
GK マルコ・アメーリア(29歳) イタリア代表 ジェノア 500万竄ャ 70% レンタルバック

(筆:Qoly編集部 N)

【厳選Qoly】東南アジア最強を決める三菱電機カップで日本出身選手が躍動!活躍する日本出身の5選手を紹介