[J2第35節、ジェフユナイテッド千葉 5-2 北海道コンサドーレ札幌、11月2日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉は札幌に5-2で大勝し、17季ぶりのJ1復帰に向けて3位をキープした。

この試合でフル出場したMF品田愛斗(まなと)は、ボックス内からのクロスボールでチーム3得点目となる決勝点をアシスト。1万6703人が詰めかけ、フクアリ史上4番目に多い入場者数となった試合後には、ファンにさらなる声援を呼びかけた。

ジュニアユース時代に磨いたクロスボール

決勝点のアシストは中学生時代に磨いた技術のたまものだった。

「いい形でボールを奪いましたし、あのクロスはジュニアユースのときに、チームですごく練習したものだった。最初はゴロで通そうと思っていましたが、気が付いたらあのプレーを選択していた。あのプレーに一番自信があったので、そこに迷いが出なかったところが一番ですね」

2-1で迎えた後半10分に、敵陣深くで相手のパスをカットした品田。そのままボックス内右に侵入すると、相手GKの頭上を越えるクロスボールをふわりとMF椿直起に届け、同選手のヘディング弾をアシストした。

相手ゴール前にも果敢に侵入した品田(左)

その後、2得点を追加した千葉は後半48分に失点するも、そのままリードを守り切って試合終了。決勝点となる3得点目をアシストした背番号44は、中学生時代に所属していたFC東京U-15深川でのトレーニング内容を明かした。

「あそこ(ボックス内)に入っていって、キーパーの間に入れるボールなのか、マイナスに入れるボールなのか、それともファーポストをめがけてやわらかいボールを送るのかというトレーニングをめっちゃしていたんです。きょうの場面では、あれが一番決める方も簡単かな思いました」と胸を張った品田。

小学生年代から高校年代までともにプレーし、古巣のFC東京と昨季の千葉で共闘した幼なじみのDF岡庭愁人(現J2レノファ山口FC)も「得意なプレーですよ」と、ニヤリと笑った。

中盤で好守に奮闘した品田(中央)

9月27日に行われた第31節ロアッソ熊本戦(2-2)以来の先発出場だった。J1復帰に向けて負けられないプレッシャーのかかる試合だったが、落ち着いたプレーでチームのビルドアップを助け、守備では抜群の予測で相手の攻撃の芽を摘んだ。

「チームとしてどうやっていくかという部分に判断基準があれば、迷いなく行けるところもある。一番重要なところは、人を消せたところ。あのような(アシストの)シーンで、相手のシャドーの選手を背中で消せたのが、チームとしても良かった」と的確な判断から生まれたアシストだった。

パスを供給する品田

次節は今月9日午後2時からフクアリで藤枝MYFCと対戦。「本当に全部勝つしかない」と意気込んだ品田だったが、サポーターには満足していない部分があるという。

「(入場者数が)1万8000人と聞いていたので、1万6000人(1万6703人)だったのはちょっと残念です。残り3試合のうち、2試合はホームでありますし、もっとすごい真っ黄色のフクアリになることを期待して、みなさんとともに最後に笑って終わることができるように頑張りたいです」と口角を上げた。

この日、フクアリ史上4番目に多い観客が集まり、最高の雰囲気となったフクアリだったが、背番号44の要求は高い(同スタジアム史上最多入場者数は2010年J2第26節柏レイソル戦で記録した1万8031人)。

試合をコントロールした品田

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J1復帰に向けて、満員のサポーターと歓喜する青写真を描いている品田。残り3試合で、さらなる高みを目指す。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)

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