チームに馴染みつつある新たな翼
科学に基づいた最先端トレーニングで選手を鍛えるいわきは、数あるプロクラブの中でも一線を画す存在だ。トレーニングメニューの適応やいわきの縦に早いフィジカルサッカーなどの適応には時間を要することが多々ある。ましてやシーズン途中加入であれば、チームにフィットするまで苦戦する選手は少なくなかった。
山中は加入してから早くチームに順応し、違和感なくプレーしているように見えた。
「チームの戦術も理解して、やり方も自分の中で落とし込んでいるつもりです。すごくやりやすさを感じていますし、ここでやりにくい部分も全然ない。うまくチームに馴染めていると思います。そこから僕の武器の部分をどれだけ出して、(自分の)色を出せるかというところにフォーカスして、今後やっていきたいと思いますね」
加入後3試合連続で先発出場とスタメンの座を確保し、前節ジュビロ磐田戦(3〇1)では初ゴールを決めるなど、チームにとって無くてはならない存在になりつつある。
田村雄三監督も山中に大きな期待を抱いている。
指揮官は「コンディションや、いわきのトレーニングに慣れるのに結構時間がかかりますけど、大分コンディションも整ってきた。きょうで3試合目になりますけど、(出場)時間を延ばしているところです。 試合を重ねるごとに良くなっているので、引き続き点に絡むようなプレーをしてほしい」とさらなる活躍を熱望していた。
指揮官の期待に応えるように、山中も同じ向きの矢印で自身の成長に目を向けている。
「フィジカル面の要素はもちろん、対人で当たり負けないところ、スピード感とキレの部分、左サイドの攻撃や仕掛けのところでの一瞬の速さ、クロスの球のスピードや質の部分は上げていきたいと思います。そこからさらに一個抉っていくプレーや、自分でゴールを取っていけるような選手になっていきたいです」と、いわきでの成長を誓った。
次節は23日午後6時にホームで大分トリニータを迎える。山中は「ホームに戻ってまた試合ができるので、大分を倒して上に上がっていけるようにやっていきたい」と意気込んだ。
【インタビュー】躍進のいわきFCを支え続ける陰の功労者、浜を照らし続けるサポーターたちの姿を追う
いわきが手にした新たな翼は、早くもチームにとって必要不可欠な存在になりつつある。山中が左ウィングバックで力強く羽ばたき、J2後半戦でいわき旋風を巻き起こす。
(取材・文 高橋アオ)