プレースケールを広げようとするスピードスター
松尾といえば爆発的な加速力を生かしたスプリントからのカットインやラインブレイクが持ち味だ。ただこれまで試行錯誤を重ねながらプレースケールの拡張に取り組み続けてきた。
『キック』の部分ではペナルティキッカーを任されてからPKの研究を重ねてきた。
「(PKは)研究しましたね。自分の蹴った後の動画を見返して、自分の形を見つけることができました」
仙台大の後輩は「大学時代の松くんは、(PKを)適当に蹴っている印象しかなかった」というほどだったが、今年6月のFIFAクラブワールドカップのアルゼンチン1部リーベル・プレート戦でプロ初となるPK成功を果たした。
まだフリーキックは本格的な研究に着手していないが、ゴールを決めるビジョンは見えているようだ。それだけにじゃんけん大会の敗北は、叫ぶほど悔しかった。
今後プレースキックを蹴るチャンスを与えられたらと聞くと、「基本的にキッカーは決まっているので、キッカーがいなければ蹴りたいと思いますね」と貪欲だった。
これまで自身のスケールを広げるために、さまざな研さんを積んできた。その意志はキックに対しても変わらない。
「PKキッカーもそうですし、(フリーキックを)蹴るか蹴らないかで、自分の数字にもつながってくる。チャンスがあればやりたい感じです」と、さらなる進化を遂げようとしていた。
特別指定選手の概念が変わった瞬間…ベルギー1部ウェステルローMF松尾佑介がJリーグに与えた衝撃
次戦は9日午後6時にアウェイでJ1第25節横浜FC戦に臨む。プロデビューを果たした古巣との対決で、新しい松尾佑介を披露することを期待したい。
(取材・文・撮影 高橋アオ)