秋田が誇るエアマスターのストライカー論
今季J2で10得点を挙げた秋田の背番号10は、圧倒的な空中戦の強さでチームをけん引してきた。
Jリーグスタッツによると、今シーズンの空中戦勝利数が133回とトップであり、2位FC今治FWマルクス・ヴィニシウスの93回に40差と跳び抜けている。さらにヘディングゴール数も7回とトップであり、制空権をほしいままにしている。
183センチと大柄ではないものの、優れた跳躍力、ボールの落下点に素早く入り込む身のこなし、打点の高さなどでピッチ上空を支配している。
現在15位と攻撃のチャンスが決して多くないチームでゴールを量産する勝負強さも持ち合わせているエアマスターに、ストライカーの技術を聞いた。
――スタッツでも分かる通り、空中戦は圧倒的な強さを見せていますね。
「高校生のときからこういうヘディングはやっていました。ただ、そこまで強いという自信があったわけではないですけど、秋田に来てヘディングの回数がすごく多くなりました。試合をやっている中で、だいたいは勝てるという感覚でいる。だから秋田に来て、より強くなったと思います」
――実戦の経験で強くなったのですね。
「そうです。実戦でめちゃめちゃ数をやると成長スピードは早い。ただ練習でヘディングをやっているよりは、ぜんぜん成長の度合いは変わってくると思います」
――今月22日開催された第20節モンテディオ山形戦での先制点のアシストは見事でしたね。チャンスメイク、うまさは今シーズンみがきがかかっているように見えます。
「アシストはそんなに狙ったりはしていないです。自分が点を取ることが一番と思ってやってきたんですけど、J2リーグという中で少し余裕が出てきたところもあって、ああいうラストパスを落ち着いて狙ったところに蹴る余裕が出てきたと思います」
――理想のストライカー像を教えてください。
「レアル・マドリーに行ってからのクリスティアーノ・ロナウド。ゴール前で足を止めないプレー、ゴール前の入り方、常にゴール前にいるところが大好きです。あとはルイス・スアレスのような南米人らしさのあるストライカーがすごく好きです」
――先ほど吉田監督の下でウィークポイントを鍛えられたと仰っていました。どの部分を鍛えましたか。
「自分でボールを持って運ぶプレー、自分でシュートを打ちにいくのはあまりいままでなかったです」
――ポストプレーも光っていますね。
「そうですね。このチームはボールが入ってくる回数も多い。ロングボールが多い」
――今季リーグ戦10得点と得点ランキングでトップですけど、何がこの結果に結び付いていますか。
「昨年の最後、すごくいい感じで点をポンポンと取れていた自信が、まず今シーズンにつながった。あとはチームメイトが僕を見てくれる回数がすごく多くなったところ。僕自身、このJ2リーグでも点を取る『ここにいれば(得点を)取れる』感覚というか、ヘディングやクロスに入っていくタイミング、入るポジションはすごく精度が上がっているので、そこが大きいと思います」
――なかなかチャンスが少ない中で得点を量産しています。その秘訣を教えてください。
「もしかしたら上にいるチームに比べたらチーム全体のチャンスの回数が少ないかもしれませんけど、ただその中で自分がシュートにいくことはできる。そこが課題にしていたところでした。シュートを打てるポジションにいるとか、シュートを打ちにいくとか、そこの過程を大事にしていた。あとシュートが入る、入らないは日々のシュート練習の量かなと思います」
――きょうもずっと打っていましたね。
「はい。ずっと朝から練習終わりまでひたすら…。やらないといざというときに足を振れないし入らない。後悔するのは自分なので」