今月11日、今年の天皇杯出場権をかけた第105回天皇杯高知県予選決勝が行われた。
対戦したのはJ3・高知ユナイテッドSCと四国サッカーリーグのKUFC南国。1点リードしたまま迎えた後半30分、高知ユナイテッドの選手交代で今季初めて金髪にサングラスをかけた選手が投入された。
今月3日に36歳となった、視覚障がいを持つJリーガー。今季新加入したDF松本光平である。
右サイドバックとして攻守ともに積極的なプレーを見せ、試合はそのまま1-0で高知ユナイテッドが勝利。松本は、高知ユナイテッドの天皇杯出場権獲得に貢献した。
1989年生まれで大阪出身の松本は、幼いころからJリーガーを目指してセレッソ大阪U-15に在籍。“天才”と呼ばれた元日本代表FW・柿谷曜一朗氏が同期だった。
また、高校年代ではガンバ大阪U-18に所属し、元日本代表DF安田理大氏や現ガンバ大阪の倉田秋・宇佐美貴史らと共にプレーしている。
トップチーム昇格は叶わず、高校卒業後は徳島ヴォルティス・セカンドやジェフユナイテッド市原・千葉リザーブズに一時所属するも、ヨーロッパやオセアニアなど海外チームを転々としながらプレー。
いつかJリーグに戻ってくることを目標としていたが、ニュージーランドのチームに所属していた2020年にトレーニング中の事故で両目を怪我。右目は失明、左目は手術を受けて眼球摘出は免れるも視力は大幅に低下し、視覚障がいを持つこととなった。
しかし、それでも再びピッチに立つためにリハビリを続けた松本は、事故から3年後の2023年に選手として復活。そして今年からJリーグに参入した高知ユナイテッドSCに加わる形で念願のJリーガーとなった。
今季は怪我の影響で出遅れ、リーグ・カップ戦ともに出場が無かったが、遂に天皇杯予選決勝で公式戦デビュー。これからのリーグ戦や天皇杯本戦で松本が出場し、活躍する姿を見てみたい。それはきっと、多くの人の勇気につながるだろう。
なお、第105回天皇杯1回戦は5月24・25日に行われる予定で、高知ユナイテッドは24日に香川県代表のJ3カマタマーレ讃岐と対戦する。