[J2第15節 いわきFC 1-1 北海道コンサドーレ札幌、5月11日、福島・ハワイアンズスタジアムいわき]
リーグ初対決となった両雄はドロー決着となった。前半34分に札幌DF家泉怜依の右足ボレーで先制を許すも、いわきは縦に早いサッカーで応戦。後半27分にFW谷村海那がPKを獲得し、2分後にFW熊田直紀が今季リーグ戦初得点となるPK弾で振り出しに。その後はスコアは動かず、いわきは6試合無敗で試合を終わらせた。
今季初のリーグ初弾で6戦無敗に
ペナルティーマークにボールを置いた熊田は無表情でゴールを見つめていた。「あまり考えずにリラックスして蹴ることだけ考えていました」と無の境地で臨んだ背番号38はゆっくり助走をつけて左足を一閃(いっせん)。ボールは矢のようにゴール左隅を突き刺し、同点に追いついた。
「自分の中で試合前にPKになったら、どっちに蹴るというのを、その日、その日で決めています。しっかりそのコースに蹴られたので良かったです」と狙い通りに左隅を射抜いた。
この日はシュート2本を放つも、PK以外のチャンスシーンで決め切れなかった。得点後もチームメイトが駆け寄るも、笑顔はなかった。
それでもストライカーは「少なからずボールは来ていると思う。前線が自分も含めて決めきる力をもっとつけたいと思います」と静かに闘志を燃やした。
この日はボールを収めるポストプレーで存在感を発揮し、札幌が激しいプレスをかけてもボールを失わなかった。背番号38のポストプレーはチームの攻撃を活性化する役割を担っており、実際に第10節カターレ富山戦で熊田が先発復帰してからチームは6試合負けなしが続いている。
「(ポストプレーは)自分の強みでもあるので、それをベースとして、後ろ(の選手)が相手に強く行けているからチャレンジ&カバーができている。失点はしていますけど、そこが大きいかなと思います」と後方の奮闘を称えた。
ただ熊田のポテンシャルはこんなものではない。FC東京(J1)在籍時の2023年に開催されたAFC U20アジアカップでU-20日本代表に選出され、5得点で得点王に輝く活躍を見せた。
昨年1月には優れたポテンシャルを評価されてベルギーの名門ヘンクのリザーブチームである同国2部ヨング・ヘンクへ期限付き移籍。ただリーグ戦9試合1ゴールと思うような結果を描けなかった20歳の若き点取り屋は、昨夏からいわきへ育成型期限付き移籍で加入して武者修行に励んでいる。
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ストライカーが欲するものは、内容ではなく結果だ。次節アウェーで開催されるジュビロ磐田戦(17日午後2時)に向けて「まずはどんな形でもいいので、先制点を取ることが一番重要な試合だと思います」と気を引き締めていた。