負傷者離脱や主力穴埋めの見立ての甘さ
今季の低迷はフィールドプレイヤーにも大きな負荷を与えているように見える。
まずディフェンスラインに負傷者が想定以上に続出している点だ。今季J1アルビレックス新潟から完全移籍でDF遠藤凌が2シーズンぶりに復帰するも、今季4試合出場に留まっている。J2のV・ファーレン長崎から期限付き移籍で加入したDF白井陽貴は未だ出場できていない。
昨夏の途中加入から主力として活躍していたDF堂鼻起暉(かずき)も第2節以降は欠場が続いており、立て続けにディフェンスリーダーの不在となりこれまで見せてきた強固なラインの形成に苦しんでいる。
これだけ負傷者が続出しているため、コンディショニングのマネジメントを見直さなければいけない時期にきているのかもしれない。
そして昨季リーグ戦18得点で得点ランキング2位タイに入ったMF谷村海那も今季リーグ戦9試合1ゴールと苦しんでいる状況だ。
昨季は相棒だったFW有馬幸太郎(現・J2大分トリニータ)が身体を張ったポストプレーでためをつくり、抜け出した谷村が仕留めるスタイルがハマっていた。だが今季はポストプレーを担っていた有馬の不在が大きく響いており、有馬の代わりの役割ができる選手も未だ出てきていない。
さらに独特なリズムとタイミングで相手の虚をつくタイミングでチャンスメイクしていたMF西川潤(現・J2サガン鳥栖)の不在も大きく、今季はいい形で谷村がボールを受けられていない。
谷村自身の実力は間違いないため、背番号10の実力を引き出せるように補強戦略の見直しが必要になりそうだ。
選手たちは全力で奮闘している。いわきを背負い、『浜を照らす光』であるイレブンは勝利を目指してピッチを駆け抜けている。ただこの苦境は一過性のものではなく、戦略の見立ての甘さから陥った事態に思える。
【インタビュー】躍進のいわきFCを支え続ける陰の功労者、浜を照らし続けるサポーターたちの姿を追う
フロントは夏の移籍市場に向けて補強戦略を立て直し、選手たちの奮闘が徒労に終わらないように全力を尽くしてほしい。