男子日本代表は24日、埼玉スタジアム2002でFIFAワールドカップ(W杯)2026アジア最終予選(3次予選)の第8節サウジアラビア代表戦(25日、午後7時35分、埼玉スタジアム2002)に向けたトレーニングを行った。
森保一監督の下、8大会連続8度目のW杯出場を決めたサムライブルー。前節バーレーン代表戦(2○0)から4日が経ったこの日は、23選手が練習に参加。同試合で3-4-2-1の右ウィングバックとして先発出場したMF堂安律(ブンデスリーガ、SCフライブルク)が葛藤を明かした。
W杯出場のために…エゴを押し殺していた背番号10
日本代表の背番号10はエゴを押し殺してプレーしていた。
自身2度目となるアジア最終予選に臨んでいる堂安はここまで6試合(すべて先発出場)で、1アシストを記録。右ウィングバックとして攻守で存在感を見せていた。
サムライブルーの指揮官やチームメイトからも信頼を置かれる26歳だが、「個人的にはもっとゴールに絡みたかったという気持ちがある。チームとしてやらなければいけない最大限の規律を守りながらも、どうやって攻撃面における自分の良さをチームに浸透させていくのかという部分は、最終予選中の課題でした」と葛藤を抱えてプレーしていた。
所属クラブであるフライブルクでは、右ウィングを主戦場に今季ここまで公式戦28試合8得点7アシストをたたき出している。異国で確かな結果を残しているからこそ、代表でのプレーに納得していない。
サムライブルーでは右ウィングバックとしてプレーする堂安は守備のタスクも重要だ。実際に、前節バーレーン代表戦では守備に翻ろうされる場面が多く、攻撃面での活躍は限られていた。
「僕が右肩下がりになるところはチームとしてあったので、戦術を守りながらのプレーでした。最終予選の厳しさも分かっていましたし、日本のためにやってきましたが、もちろん葛藤はありました」と背番号10は明かした。
自らを“逆境大好き人間”と称し、追い込まれたときほどパワーを発揮してきた堂安。これまではSNSやメディアなどを通じて自分の意見をハッキリと主張してきたが、今回は違った。
堂安は「最終予選中に意見を言いすぎて、ガラッと変えてしまうとチームの軸が壊れると思ったので、バランスを見ながらでした」とチームのために発言を最小限に留めていた。すべてはW杯に出場し、優勝するためだ。
背番号10は「うれしさというよりも、ほっとした。少し肩の荷が下りた気持ちです」とW杯出場に安堵(あんど)。ここからは「自分のエゴを出せるようにしたい。チームに戦術を落とし込めるように、意見できたらいいと思います」と積極的に声を上げていく。
日本代表は25日、埼玉スタジアム2002でサウジアラビア代表と戦う。負けられない一戦ではあるが、W杯本番に向けて様々なオプションや戦術を試す場にもしたい。
サムライブルーでの得点に飢える堂安は「本来、自分の生きるポジションは前気味。ウィングバックができるようになったことはプラスですが、もしも前で起用されることがあれば間違いなく攻撃の良さを出せると思います」とシャドーの位置でのプレーにも自信があると語った。
「ギラギラ感は(試合に)出ている選手も、出ていない選手も持っている」とW杯に向けたポジション争いは始まっている。サウジアラビア代表戦では、どこのポジションでもプレーできると指揮官に証明し、日本代表のエースは『俺だ』と言わんばかりのゴールを奪ってみせる。
(取材・文・写真 浅野凜太郎)