[J2第5節、ジェフユナイテッド千葉 5-1 愛媛FC、3月16日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉が愛媛に5-1で大勝し、前身の古河電気工業サッカー部時代を含めクラブ史上初となるリーグ戦開幕5連勝を飾った。
FW呉屋大翔(ひろと)はセンターフォワードで先発出場。後半5分にヘディングシュートから決勝点を挙げると、サポーターに向かって喜びを爆発させた。2試合連続弾を沈め、好調を維持するストライカーは「次も点を取りたい」とゴールに飢えている。
尽きることがないゴールへの欲
「きょうは何としても点を取りたかった」と呉屋は昨季のJ2第15節ヴァンフォーレ甲府戦(2△2)以来のリーグ戦先発出場に燃えていた。
2023年シーズンよりJ2大分トリニータから千葉へ加入し、移籍初年度はリーグ戦35試合5得点を記録。力強いスプリントとゴールへの嗅覚で攻撃をけん引していたストライカーだったが、昨季はリーグ戦23得点でJ2得点王に輝いたFW小森飛絢(ひいろ、ベルギー1部、シント=トロイデン)の台頭もあり、リーグ戦17試合2得点の活躍に留まっていた。
「もちろんスタメンで出たいですし、そのためには結果を残さないと出られない状況なんです」と危機感を口にしていた呉屋。FW林誠道(まさみち)やFW石川大地ら強力なライバルとの競争に勝つためには、ゴールが必要だと感じている。
開始早々に先制点を奪われたが、前半21分に石川が放った左足のループシュートが相手ゴール右側へ吸い込まれて同点に追いついた。
前半は1-1で終了。自分が出た試合で連勝の勢いを止めてたまるかと、呉屋は後半開始早々からアクセル全開だった。
後半5分に相手ボックス内でMF品田愛斗(まなと)がクリアボールをカット。そのまま放ったシュート性のパスに対して、呉屋が頭で合わせて逆転に成功した。
前節北海道コンサドーレ札幌戦(3○1)に続き、2試合連続の得点となった呉屋は、ゴール裏のサポーターに向かって雄叫びを上げた。
千葉の小林慶行(よしゆき)監督は「きょうの評価としては素晴らしかった」と決勝点を奪った背番号9を称賛。「前節の札幌戦やその前の山形(モンテディオ山形)戦でもしっかりとその時間、その状況を考えて、彼は自分自身のプレースタイルを変えながらチームの勝利に貢献してくれていた」と、チームのために労を惜しないストライカーだと評価した。
呉屋は「(監督が)慶行さんになってから、積み重ねている部分がやっと形になりつつある。あとは選手自身がクオリティを上げていき、チャンスを生かせるようなっている」とチームの成長を実感。17季ぶりのJ1復帰に向けて、スタートダッシュに成功した。
しかしストライカーに安堵(あんど)の表情は見られない。「正直、前半も決められるシーンがあった」と、し烈なスタメン争いの真っ只中であると自覚している。
「いまのジェフはみんなが準備できていますし、そういう意味ではいつも通りの準備をした上で、誰が出て結果を出すかという勝負の世界だと思う。だから僕はこれを続けるだけです」
開幕5連勝を達成し、J2首位を走る千葉はチーム全員で勝点をつかみ取る。指揮官は「小森が抜けたから不安だという発言は、1回もしたことがない。不安に思っていません。最初から」とイレブンへの信頼を口にした。
ジェフユナイテッド千葉、「歴代最強の外国人選手」はこの5名!
誰も慢心していなければ、気負いもない。呉屋は「次も点を取りたいです。それだけです」と次節ヴァンフォーレ甲府戦で3試合連続弾の準備を進める。
(取材・文 浅野凜太郎)