APTを伸ばす方向性
そもそもJリーグはAPTをなぜ伸ばす方針となったのか。
先月10日に開催された『2025 Jリーグ開幕イベント』で野々村チェアマンが、APTの増加とプレー強度の向上を目標に掲げた。
この目標が審判のジャッジにどのように影響を与えているかは分からないが、今季は接触プレー後のノーファウルが増加したというサポーターの体感がよく耳に入ってくる。
世界基準のAPTとプレー強度の水準まで向上させることで、エンターテイメントとしてJリーグが世界に通用するコンテンツにまで成長させたいといった思惑があるのかもしれないが、選手の疲労度などを考えるとこの傾向は本末転倒なのではないかと疑ってしまう。
なぜなら2023シーズンまで全18チームが所属していたJ1は、昨季から2チーム分チーム枠が増加したことにより、4試合増えてしまった。
リーグ杯、天皇杯とカップ戦も多く、AFCチャンピオンズリーグエリートなどの国際大会も控えているチームからすれば4試合の増加は非常に重たいものだ。
それにも関わらず、今季は他のシーズンと比較して開幕が早まり、プレー強度もこれまで以上に要求されてしまえば、選手の負傷リスクが高まってしまうのではないかと心配してしまう。
筆者が抱く危惧は杞憂(きゆう)なのかもしれないが、プレイヤーズファーストと謳っているにも関わらず、きょう開催された湘南vs神戸戦はそう思えるような内容ではなかった。
APTを伸ばすのであれば、オフサイドディレイを減らす方向で調整するなど、他の施策も目標に掲げてもいいかもしれない。接触プレーをノーファウルと判定しても、痛がっている選手がいればゲームを止めて、ドロップボールでプレーを再開してしまえば本末転倒だからだ。
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主観しかないコラムになってしまったが、選手が安心安全にプレーできる環境をJリーグは提供できているのか。選手を被害者にしてはいけない。今回開催された湘南vs神戸戦を観た上でJリーグは「安心安全か?」と問われたら、私は「安心安全なプレー環境です」と答えられそうにない。