苦境を糧に成長した韓国時代

2022年12月に浦和を退団した江坂は、韓国1部の強豪、蔚山現代FC(現蔚山HDFC)へ完全移籍。30歳となる節目の年に、新たな挑戦を決意した。

前年の2021年には日本代表に初招集されたJリーグ屈指の攻撃的MFの韓国移籍に、多くのファン・サポーターが驚いた。

Kリーグでプレーする蔚山在籍時の江坂(写真左中央)

2022シーズンのリーグ王者である蔚山に、鳴り物入りで入団した江坂だったが、同クラブでは左サイドハーフやボランチなど慣れないポジションでもプレーした。

もともとFWの後ろでチャンスメイクするプレーが得意だった同選手は、Jリーグで見せていた決定機を演出する天才的なパスセンスをなかなか披露することができず、一時は試合に出場できない時期も続いた。

当時を振り返った岡山の背番号8は「(試合の中で)本当に何も助けてくれないというか、自分でどうにかしないといけない場面がすごく多かった」と、在籍したJリーグのチームとは異なるサッカーへの適応に苦しんだと明かした。

3季ぶりの埼スタで、持ち前のボールコントロールを披露する江坂

それでも、「自分で考えながら、少ないチャンスをものにするところは、自分としても成長できた部分かなと思います」と、苦境を糧にして成長を実感した。

江坂の韓国での経験は、今季の岡山がより高い順位を目指すうえで重要な要素となる。

特にJ1初挑戦の岡山は今後、この日の試合のように押し込まれた状況から少ないチャンスをものにして勝点を積み上げていかなければならない。

同選手自身も「どの試合も我慢の時間帯と、自分たちの時間帯があるので、そこは自分たちのサッカーもできつつある。まだまだ経験の浅い選手も多い中で、そこは出せているのはいい部分かと思っていて、そのクオリティを、一つ、一つ上げていければと思います」とチームとしての手ごたえも口にした。

アウェイの地まで駆けつけてチームに声援を送る岡山サポーター

満席のホームでサポーターの期待に応えたい

岡山は次戦、3月16日午後2時にホームで川崎フロンターレと対戦する。

今季、本拠地のJFE晴れの国スタジアムでは、熱狂的でありながらも温かい岡山サポーターがスタジアムを満席にしてチームを後押ししている。

岡山の背番号8は「アウェイにもたくさんのサポーターが来てくれますし、ホームは毎試合ほぼ満席で(プレー)させてもらっています。自分たちは声援を受けてとても期待されているので、それに応えたいと思います」と、本拠地に詰めかけるサポーターに勝利を届けることを誓った。

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主将としてチームを牽引する立場となった江坂のさらなる活躍に期待だ。

(取材・文 Ryo、撮影 浅野凜太郎)

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