Qoly専属評論家の元Jリーガー高木義成さんがサッカー界の疑問や問題などに独自の視点で切り込む『高木義成の高木式GK視点コラム』。
連載第1弾は移籍市場が開いた際に新聞社などが掲載する移籍ニュースについて当事者となるJリーガーは何を思うのかについて、高木さんが切り込んだ。
X(旧Twitter)などで移籍情報を垂れ流す移籍の噂アカウントなどにも言及した。
新聞で知ったライバルの移籍
まずは自分が移籍したかったときは、キーパーの移籍の噂が気になっていたよ。例えばエージェント経由だったら信ぴょう性がある。新聞やネット記事はそんなに信用していないけど、ちょっとドキドキした感じがあったよね。
ヴェルディ時代はJ2に降格して、J1へ戻したときに土肥洋一さんを取ると新聞で知った瞬間は「は?」って思ったよ。「舐めているの?」ってね(笑)。
FC東京の土肥洋一さんの獲得と新聞に出て、これほど屈辱的なものはないなと。同じ東京だし、向こうは元代表で、満身創痍(まんしんそうい)に見えたからね…。挙句の果てにキャンプ前に(当時監督の)柱谷哲二さんにサウナで「お前は今年使わない」と言われ、「あんたかよ(土肥さんを)取ったの!?」と思ったよ(苦笑)。
でも土肥さんはすごい選手だったから一緒にやれたことはいい経験になったね。
名古屋移籍時に当事者となった移籍ニュース
俺は名古屋へ移籍したときにそれ(移籍ニュース掲載)をやられているからね。ヴェルディをクビになって、グランパスが天皇杯の最後まで残っていたんだよね。だからヴェルディをクビになってから(加入の)発表ができなかったんですよ。
『高木義成ヴェルディ退団』となってから3カ月くらい音沙汰がなくて、名古屋は決まっていたのにね。「年明けにリリースを出して契約になります」と名古屋とも話していた。「なんとかACL(AFCチャンピオンズリーグ出場権を)取ってくれ、ACL行きてー」と思っていたら、12月30日くらいかな。公式発表前に移籍ニュースを新聞に書かれてイラっとしたよね。「余計なことするなよ。グランパスは試合が残っているじゃん」ってね。
これから行くチームの選手だって「いま出すのかよ」みたいになっちゃう。そのときはキーパーに広野耕一くんがいて、彼と入れ替わりと聞いていた。広野くんが人格者だと聞いていたし、彼はちゃんとした花道を行かないといけないと思っていた。
それなのに俺の記事が出ちゃったから、「なんで広野くんをクビにして、高木を取るんだよ」という感じになったね。