[第103回全国高校サッカー選手権大会3回戦、上田西高(長野県代表)2-0矢板中央高(栃木県代表)、2日、千葉・フクダ電子アリーナ]

3回戦が2日に関東圏各地で行われ、上田西高は矢板中央高に2-0で下して準々決勝へ進出した。

試合開始早々にDF東風谷崇太(こちや・そうた、3年-千曲市立戸倉上山田中学)がボックス内でファウルしてしまい、ペナルティキックを献上した上田西高。早速のピンチを迎えたが、GK牧野長太朗(3年-Adii iidA FCジュニアユース)が横っ飛びのスーパーセーブでチームを勢いづけると、前半11分に東風谷が先制点を奪取。互いに支え合った上田西高のディフェンスラインを、敵将は「むかしの矢板を観ているみたいだった」と称賛した。

クラスメイトを救ったスーパーセーブ

ベスト8進出を目指す上田西高は、試合開始早々にピンチが訪れた。

矢板中央高FW堀内凰希(こおき、3年-AC長野パルセイロU-15)にボックス内へ侵入されると、ディフェンスの要である東風谷がファウルしてしまい、ペナルティキックを献上。「終わったな」と失意の背番号4を救うべく、クラスメイトである牧野がひと肌脱いだ。

粘り強い守備を披露したDF東風谷

「東風谷とは普段からとても仲がいいですし、バックラインはほとんど同じクラスなんです。仲の良さはサッカー中の絆や、つながりになります。『あいつを戦犯には絶対させない』と思っていました」と守護神は友の想いを背負ってゴールマウスに立ちはだかった。

ペナルティーキックは苦手だと話す背番号1は、選手権のために猛特訓を積んできた。長野県予選が終わってからはペナルティキックの自主練習を毎日欠かさずに行い、この日のために備えてきた。それでも矢板中央高戦の前日練習では調子がイマイチだった守護神を見て、苫田玲央(とまた・れお)GKコーチは「思い切って飛べ」と助言した。

その言葉通り、牧野は迷わずゴール右側へ横っ飛びスーパーセーブ。左手一本で絶体絶命のピンチを救った守護神は雄叫びを上げた。

左手一本で止めたGK牧野

「(苫田GKコーチの言葉が)頭にあったので、思い切って飛びました。大舞台では自分のプレーをいつも出せないんですけど、ここが上田西高校のグラウンドだと思って、練習と同じようにやろうと心がけました」と努力の成果が実った瞬間だった。

牧野のビッグセーブでピンチをしのいだ上田西高だったが、その後も矢板中央高の猛攻を浴びた。それでも身体を張ったディフェンスで赤黒の波状攻撃をしのぎ続け、虎視眈々と好機を伺った。