35節 アビスパ福岡戦(A)
勝てない時期が長く続いたアビスパですが、それでも内容は悲観するものではありませんでした。守備から試合を作り、そして新たな取り組みとして保持にも挑戦していたから勝てない時期が続いたのだと思います。
そして33節の名古屋グランパス戦で勝利を取り戻しました。ウノゼロとらしい勝ち方で勝利を取り戻したので、残りの試合に向けた勢いがついている現状です。
アビスパは523のプレッシングと442のプレッシングを使い分けながら試合を作り出していきます。ボールを握らずとも、試合を作っていける稀有なチームだと思います。3バックの迎撃とCHの挟撃を上手く使い分けながら、ショートカウンターに出ていくことが彼らの最大の強みです。
そこでレイソルです。ボールを持つ時間帯が長くなる分、どこに出口を作るのか、どのように3CBの脇のスペースを強襲していくのかがポイントになりそうです。
アビスパはSBに対してWBを押し出すのではなく、STに対応させることが多いです。だからCHの横移動が必須となってくるのですが、レイソルからするとSTの背後のスペース周辺で呼吸場所を確保していきたいところです。
そのために、2-2の土台を作りながら、まずは1stプレスラインを中央に寄せること、アビスパCHを中央で止めることから組み立てを考えていきたいところです。そうするとSBとSTの距離が長くなる分、WBを引っ張り出せるか、時間を作り出すことができそうです。
WBを引っ張り出した場合は、SHやCFの背後で3CBの脇を突いていく形、出てこない場合は横断しながら攻撃を仕掛けていくとゴール前まで到達できそうです。
そこでこの試合のキーマンとなりそうなのが、小屋松知哉です。動きながらエリアを移動し、リンクを作り続ける彼は、アビスパ福岡のゾーンを跨ぐことができます。そうすると少なくとも受け渡しと目線の入れ替えが発生するので、その遅れを利用しながら横断し、攻撃を完結させられることもできそうです。
いかにして迎撃を受けないエリアを早く見つけ出し、それを空転することができるか。これが勝利を掴むための絶対条件でしょう。
36節 アルビレックス新潟戦(H)
リーグで最もボールと共にプレーをし、ボールと共に前進し、そしてゴールに迫っていけるチームです。変わらぬ哲学で今シーズンも戦い抜いています。
相手のプレスを待つことやスペースの共有は高次元にあり、ボールを奪いにいくと剥がされる、ブロックを作りだせば1つ1つ動かされながら攻撃を仕掛けられてしまう。さらに守備の安定感もある。
442のブロックやプレスの線引きも明確で、堅実なチームになっていることは間違いないです。ルヴァンカップ準決勝川崎フロンターレの2戦とも、守備を考えながら試合に入って見事に決勝へ進んでいます。確かな信念の下、相手を上回ることで勝利を掴みにかかるチームです。
それに対してレイソルです。実はボールを持っていない方が勝利することが多いアルビレックス。完全にボールを持たせるという文脈ではなく、ハイプレスの線引きを上手く使い分けながら制限をかけていきたいところです。
プレスをかける時は完全に人を捕まえて時間を潰して前進で引っ掛けるとゴールに迫れると思います。現にアルビレックス新潟はこの形で失点するシーンが多くあります。
さらに前進が難しくなってくると、どんどん人を下ろしてくるので、より引っ掛けることが簡単になっていきます。このプレスをかける瞬間を間違わず、足並み揃えて前に出ていくことができると、勝機を窺うことができるでしょう。
37節 ヴィッセル神戸戦(H)
優勝争いをしているチームで残りの対戦相手で最も高い障壁です。
速さと強さを兼ね備えている強敵で、さらにここにボール保持の局面を積み上げつつあります。だからこそ、最後まで戦い抜くエネルギーを保ちながら試合を進めることができるようになっているのも勝ち続けられる理由だと思います。また424で行われるハイプレスも強固で攻守において強度が高いチームです。
対するレイソルです。隙のないチームに思えますが、まだ完全にボール保持の局面が積み上がっているわけではないので、ここに制限をかけていきたいところです。33節の京都サンガ戦では前進を引っ掛けられて失点も喫しています。
よって、新潟戦と同様プレスの線引きを上手く使い分けながら、足並みを揃えて進んでいきたいところです。このプレスの線引きが必要な理由として、ヴィッセルはシンプルな長いパスも持ち合わせているからです。
大迫への上のパスとゲーゲンプレスはヴィッセル最大の矛であり、これを潰すために構えた守備も必要になってきます。この使い分けこそが強敵相手に打ち勝つポイントになるかもしれません。
38節 北海道コンサドーレ札幌戦(A)
後半戦の勝ち点の稼ぎ方は強者のそれです。コンサドーレは混乱をきちんと整理したことによって自分たちを取り戻しました。
影響を与えられる可変はどのようなものなのか、ボールを引き取る前の準備と出し手のタイミングは合っているのか、背後と手前はきちんと用意されているのか。この辺りを再整理したことにより、空洞化していた中盤と機能不全を起こしていたネガティブ・トランジションを解決しました。
特に前進のときに4枚の土台になった瞬間のスペースにIHやCFが降りながらリンクを作るプレーも出始めて、前進も安定しています。守備では完全なマンツーマンではなく、受け渡しをしながらプレッシングをかけます。さらにブロックも形成するようになっており、442で守備ブロックを作り出すこともあります。
良くも悪くも自分たちにしかベクトルが向いてなかった時期と比べ、現在は相手を意識しながら自分たちの色を出すことを選択しています。戦い方が大人になったからこそ、後半戦で勝ち点を荒稼ぎしているのだと思います。
そんなコンサドーレに対してレイソルです。まず最初にぼかしていきたいのがDMFのところです。ここを経由されてしまうと、CHが引っ張り出されることになってしまいます。
基本的にレイソルは2トップのラインを突破されるとアンカーに対してCHを押し出すことが多くなっています。だから丁寧に2トップでDMFを隠しながら可変を行って4枚化するであろう最終ラインに制限をかけていきたいところです。
これを行うことができなければ、中盤が広げられてスペースを開け渡してしまいます。そうなってくると外に誘導できなくなり、迎撃も作れない状況下になってしまいます。
しかし裏を返せば、しっかりと中央を消すことができれば、広がるCBにはSH、高さと幅を作るWBにはSBとサイドで当てはめることが可能になってきます。そうすると迎撃を作り出しやすくなるので、細谷真大を中心としたショートカウンターでゴールまで迫っていくことはできるでしょう。
多くの試合がそうですが、レイソルの命綱であるハイプレスをこの試合も押し出せるか否かは重要です。
レイソルは基本的にプレッシングを仕掛けながら、ショートカウンターを押し出すことで勝利を掴み取っていくチームです、言わばプレスがハマるか否かは勝敗に直結します。そこで各試合のハイプレスを行う際の文脈とそのタイミングや線引きを間違わないことが、残留に向けての大きなポイントになりそうです。
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Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|
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