ブラジル帰りのチャンスメイカー
今月5日にJ2モンテディオ山形から育成型期限付き移籍で三重に加入したFW荒川永遠(とわ)は、今年1月からブラジル4部CRアトレティコ・カタラーノへ期限付き移籍していたブラジル帰りのチャンスメイカーだ。縦の突破に定評があるプレースタイルであり、敵陣を切り裂く推進力あふれるドリブルとスプリントに優れている。相手の接触があっても崩れないボディバランスとゴール前でのチャンスメイクも秀逸だ。
間瀬監督は「彼の経歴からしても海外に行っていたこともあって、日本のサッカー界だと簡単にはいないタイプ。周りとはリズムが違ったり、感覚が違う部分がある。もちろんチームとしての方向性・決め事はあるものの、そういう自分らしさを思い切ってヴィアティンで発揮してもらいたいですね」と攻撃のアクセントを期待している。
CRアトレティコ・カタラーノ復帰時に山形のリリースを通じて「正直この半年間はいままでで1番辛かったし、何度も折れそうになりましたが、その分選手として、人として確実に成長した半年間でした」と話すように、ブラジルでは挫折も経験したという。興国高(大阪)時代は技術、身体能力に定評のあった逸材だったが、ブラジル挑戦は一筋縄でいかなかったようだ。
「人生で1番苦しんだ半年間でした。向こうの選手はいい意味でリスペクトがないし、日本人を潰してやろうという選手が多かったです。練習からすごく厳しいし、服の引っ張り合いや胸ぐらつかみ合いだったりと、いろいろ経験しましたね。日本とはサッカーも違いますし、能力も違いを感じました」と経験を吐露した。
それでも異国で得た新しい武器がある。志半ばで日本へ帰還したが、ブラジルでの挑戦を失敗とは言わせない。新天地三重では南米で成長した実力をピッチ上で証明する。
「ブラジルで人をはがす力も付けましたし、そこからドリブルで運んで強引に持っていくプレーも身に付けました。正直ブラジルで結果を残して、レベルアップして山形に帰って活躍したい思いがあった中で、帰国することになりました。その中で、自分を必要としてくれるチームがあったことにすごく感謝しています。責任を持って自分がチームを勝たせる思いで試合に臨みたいです。ここで(三重を)J3に昇格させたい思いがあります」と言葉に力を込めた。
上記選手以外にJ3奈良クラブから期限付き移籍でMF桑島良汰、関東社会人1部ジョイフル本田つくばFCから完全移籍でMF青木竣、J3テゲバジャーロ宮崎から期限付き移籍でFW上野瑶介を獲得した。
桑島はJ3・FC今治時代にセンターフォワードを務めて2020シーズンに32試合5得点2アシストを記録し、現在は攻撃的MFやウイングを主戦場とする技巧派アタッカーだ。青木竣は左サイドバックを主戦場とする両利きサイドバックで、つくばの主力として昨季地域チャンピオンズリーグ出場へ導いた実力者。上野は順天堂大でセンターバックからセンターフォワードへコンバートし、身長180センチの高身長と身体能力を生かしたダイナミックな攻撃に定評がある。
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攻撃に特徴がある6選手を加えた三重は、攻撃の改善に努めて後期リーグ初戦の栃木シティ戦(31日午後6時、三重・東員町、LA・PITA東員スタジアム)に臨む。首位と勝点13差を付けられ逆転優勝の道は険しいが、三重県初となるJリーグ参入を目指すチームは困難なミッションを達成する覚悟を持っている。ここから反撃を見せる三重の逆襲から目が離せない。