[天皇杯ラウンド16、ジェフユナイテッド千葉1-0北海道コンサドーレ札幌、千葉・フクダ電子アリーナ]

J2千葉がJ1札幌に1-0で勝利し、天皇杯ラウンド8(準々決勝)へと駒を進めた。先発出場したMF品田愛斗はJ2第24節ロアッソ熊本戦(0-2)以来のスタメン出場だったが、攻守で存在感を発揮して札幌相手に中盤をコントロールした。千葉は前半45分にペナルティーエリアの前でフリーキックのチャンスを得ると、これを背番号44が直接沈めて先制。途中押し込まれる展開もあったが見事に守り切り、決勝点を決めたヒーローの今季初ゴールがチームを救った。

17日に行われたJ2第27節いわきFC戦では3失点を許して黒星を喫した千葉にとって、この日の札幌戦はリーグ戦の悪い流れを断ち切る覚悟で臨んだ。

千葉の小林慶行監督は「最初の10分から15分は圧倒的に支配され、押し込まれていた。ただそこで失点せずに粘り強く対応できたことが1番のポイント。その後少しずつ押し返し、攻撃の部分でもクオリティを出せました。欲を言えば、ここ最近のリーグ戦で自分たちの課題となっている決定機を決められない点は、このゲームでも継続しました。そのようなことが続くと、最後の最後でなにが起こってもおかしくはないという展開に間違いなくなってしまう。粘り強く対応できたことは良かったが、いま現在チームが抱えている課題は浮き彫りになっていて、それを乗り越えられるかが今後のリーグ戦で重要になってくる。そこを選手たちと共有し、1番大事なリーグ戦で自分たちの目指すところまで行けるように頑張っていきたいと思います」と試合を振り返った。

小林監督がいうように千葉は何度も決定機を逃しており、札幌戦の総シュート数は17。J1昇格プレーオフ圏内である6位進出に向けて、現在8位の千葉がいち早く改善したいポイントは「決定力」。その課題を抱えたチームにとって、品田の直接フリーキックはまさに値千金の一撃だった。

フリーキックの相談をするDF佐々木翔悟(左)とMF品田愛斗(右)

「あの位置なら翔悟(DF佐々木翔悟)が強いキックを蹴れるので、最初は翔悟に任せようと思っていた。でも壁の位置が翔悟の巻きたい方向を切っていたので、『じゃあここは俺が行くわ』となりました。ゴラッソだったので、気持ちよかったですね」と品田は笑みをこぼす。

この判断が功を奏し、背番号44が蹴ったキックは鋭い軌道を描きながらゴールポストに当たってゴール右側へと吸い込まれていった。公式戦3試合ぶりのゴールに客席は大きく沸いた。

また控え目だった得点後のパフォーマンスについては「今日はすごい勝利だし、サポーターのお陰も大きい。でも僕は次を見据えていると示したかったので、そんなにテンションを上げずにやりました。自分たちのサッカーができれば、カテゴリーに関係なくどこのチームにも勝てる。もちろん勝敗は分からないが、その可能性が大いにあるチームだと思います。90分のうち半分以上は苦しい展開になると思うので、そこをどう整理してやれるか。誰かがではなくて、みんなが考えてやることが1番だと思う。トレーニングから全員でやろうとしているのことなので、もっと成長できると思っています」と背番号44は上を見据える。