故郷での勝利に笑顔

中学時代は千葉のアカデミーで過ごした山下。中学卒業後は高校サッカー屈指の強豪である青森山田高へ進学。桐蔭横浜大を経て当時東北社会人1部リーグのいわきへ入団。千葉と対戦するまで険しい道を歩んできた男は憧れだったピッチの上で躍動し、故郷で白星を飾った。

「僕がジェフのアカデミーにいたとそんなに認知はないのかなという思いがあります(苦笑)。でも中学のときからボールボーイだったり、試合をこのフクアリで観ていました。そういうところでまた試合をしに帰ってこれたことは、すごく感慨深さがありますし、負けたくないなという思いがありました」と白い歯をこぼした。

いわきでは鉄人と呼ばれるほどの選手に成長し、2021年シーズンから2023年シーズンまでリーグ戦全試合に出場するなどチームの柱としてJFL、J3、J2昇格に貢献。いわきでたくましくなって故郷に凱旋した。

「いまもサッカー選手としてやっていけていることを、自分の仲のいい友達や家族に見せられることがすごく幸せなんだろうなと感じています。そういう面では(故郷で活躍を見せられて)良かったと思います」と胸を張った。

第25節ブラウブリッツ秋田戦でクラブ史上初となるJリーグ100試合出場を記録。アマチュア時代から中盤の核として泥臭く守り、堅実なプレーでチームを支えてきた。

「いわきFC自体がいまJ通算103試合ですかね。僕が102試合に出ているので、一緒に積み上げてきたのかなという思いがあります。このチームだけで100試合に出られたことは光栄です。感慨深いというか、チームと一緒に上がって、試合をできることが僕としてはすごく誇らしいです」と鉄人は穏やかな笑みを浮かべた。

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千葉で生まれ育った背番号24は、ひた向きに努力を重ねて着実に歩みを進めてきた。故郷でチーム記録を達成したが、それは通過点に過ぎない。「いわき市を東北一の都市にする」という壮大なクラブビジョン達成に向けて、まずはいわきの鉄人がクラブ初のJ1初昇格へと導いてみせる。

(取材・文 高橋アオ)

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