近年、注目度がより高まっている女子サッカー。ただ、女子選手は男子に比べて、膝前十字靭帯(ACL)の怪我が多いとされている。
そうしたなか、国際プロサッカー選手会(FIFPro)は、英PFA(Professional Footballers Association)、Nike、リーズ・ベケット大学とともに女子選手のACL損傷を減らすプロジェクトを立ち上げた。
“プロジェクトACL”と題された3年間の調査・研究は、日本人もプレーする英女子スーパリーグの選手たちに焦点を当てる。女子選手は男子と比べて、ACL損傷が2~6倍ほど起こりやすいとされているが、女子選手のACL損傷の3分の2は身体的接触がない状況で発生している。既存の研究はアマチュア選手を対象としたものが多く、プロの女子選手の怪我を減らす方法については理解が進んでいなかったという。
リーズ・ベケット大学のステイシー・エモンズ博士はこう述べている。
「ACL損傷に関するほとんどの研究は、女性の身体構造など単一の性別に基づく危険因子に焦点を当ててきた。我々の研究では、女子プロサッカーにおける負傷リスクに影響を与える可能性がある性別による環境要因を検討するためにより大きな視点で見ていく」
既存の研究では、月経周期やスパイク、体型など生理学的要因に主眼が置かれてきた。
『BBC』によれば、エモンズ博士は、女子選手のACL損傷にまつわる“物語”は誤解を生みかねないと考えているとのこと。
「これらの危険因子のいくつかは女性特有のものであり、我々はそれを受け入れる必要がある。しかし、それらは影響を与えうる。
例えば、女性は若いうちから筋力トレーニングやコンディショニングトレーニングをすることが少ない。それらはケガのリスクを軽減する基礎となるもの。
神経と筋肉に関するプログラムの調査研究があることも知っている。(これは)女子選手では研究されていない。広範な研究が必要であり、女子の試合における環境要因が最も大きなひとつであると感じている」