『DAZN』で毎週木曜日に更新されている「内田篤人のFOOTBALL TIME」。
今回はサッカー解説者の林陵平をゲストに招き、現在行われているAFCアジアカップ・カタール2023の特集を行った。日本代表がラウンド16で対戦すると予想された韓国、ヨルダン、そしてベスト8で当たる可能性があるイランを分析した。
そして、ヨルダンが使用している5バックのシステムについて林陵平と内田篤人は以下のように話し、分厚い守備を崩すためのビルドアップについて説明していた。
林「キーワードは『釣り出す』。日本が今苦手としている戦い方なんです。ヨルダンはシステムが5バックで、攻撃時には3-4-2-1、守備時には5-4-1。最初からベタ引きになるのではなく、高い位置でプレスをかけてくる部分もある。
韓国はそれをかなり嫌がっていました。その使い分けが上手いんです。ハイプレスで行くときと、シャドーの選手がボランチの脇に落ちて5-4-1となるとき。日本にとっては、韓国よりも戦いにくい相手ですね」
内田「わかります。俺もヨルダンのほうが嫌です。韓国はオープンに構えてくれるけど、やりたいことがお互いに違うのでイヤだなという」
林「現代サッカーで5-4のブロックを作られたら、世界のどの国でもなかなか崩すのは難しい。ではそれをどのように攻略するのか、そのヒントが『釣り出す』です。
何が一番必要かと言えば、3センターバックの脇をどれだけ釣り出すか。それがポイントです。そのために重要なのは、相手のボランチをどのように釣り出すか。
したがって、日本は相手の最終ラインと中盤の間に人を置きたい。4-2-3-1では相手のボランチのところに一人しかいない。日本はそれを修正して4-3-3にして、もう一人をラインの間に入れていくようになった。
特に5-4-1の相手に対しては、日本がボランチを2枚後ろに残しておく必要はない。センターバックと一人のボランチで相手のワントップを囲んで、相手のボランチ2枚の後ろにインサイドハーフを2枚入れていく。
すると、日本のセンターバックがボールを前に運んだりしたとき、相手のボランチが前に出てくる。そうすれば相手の最終ラインと中盤の間にスペースができる。
そこにボールが入れば、3センターバックの脇の選手がかならず前に出てくる。そこでウイングが裏を狙って飛び出すことができる」
内田「5バックはディフェンダーが5枚いるので、横にスライドさせてもあまり意味がない。センターバックの選手をなるべく縦に動かしたいんです。
5バックを崩すときには中央ですね。彼らをどう縦にスライドさせるか。逆に5バックで守る側からすれば、動かなければそうそう崩されることはない」
5バックシステムの場合、サイドを狙って相手の最終ラインを横にスライドさせるのは難しい。そのため中央にいるセンターバックを引き出して、その裏にできたスペースを狙うことが崩しのポイントであるそうだ。