ミヒャエル・スキッベ監督が就任した昨シーズン、Jリーグで3位、天皇杯で準優勝、ルヴァンカップを制したサンフレッチェ広島。

今シーズンもここまで上位に付けており、29日に行われたセレッソ大阪との試合では、後半アディショナルタイムにブラジル人FWドウグラス・ヴィエイラがゴールを決めて勝利した。

これで広島は、首位・ヴィッセル神戸と勝点差2の2位に浮上した。

ただ、内容的にいえば昨シーズンに比べて厳しい試合が続いていることもまた事実であろう。

その原因の一つは、両サイドにあるのではないか。

両サイドの“矢”を失ったサンフレッチェ広島

広島はミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現北海道コンサドーレ札幌)が指揮をとって以来、3-6-1がクラブの基本フォーメーションとなってきた。

このシステムは、ウィングバックの選手が「ウィング的な働き」をすることによって成り立つシステムであり、ミハエル・ミキッチや柏好文といった強力なサイドのアタッカーが強い時代の広島を支えてきた。

昨シーズンまででいえば、右サイドはスピードスターの藤井智也であり、左サイドは上述した変幻自在のドリブラー、柏好文である。

だが藤井は昨シーズン途中にポジションを失い、今シーズン鹿島アントラーズへ移籍。さらに柏は35歳という年齢もあり、ベンチを温める日が増えている。

そんな過渡期にあって、広島は今シーズン大卒1年目の中野就斗を右サイドで試した。

しかしさすがにやや荷が重く、苦肉の策として日本代表経験もある満田誠を右サイドのウィングバックで起用する試合が続いた。

また左サイドには主に東俊希を起用しており最近はフィットしているが、単独で突破するような選手ではなく、従来の戦い方とは変化を求められた。

これが厳しい内容が続いた理由の一つと考えられる。