18日に行われるFIFAワールドカップ・カタール2022の決勝戦。前回大会を制覇したフランス代表が再びファイナルの舞台へと駒を進めた。

これまでワールドカップを連覇した国は2つ(女子を除く)で、1934年と1938年のイタリア、そして1958年と1962年のブラジル。ただ、後者は大会の間に監督が変わっているため、「ワールドカップを連覇した指揮官」は歴史上一人しかいない。

フランス代表のディディエ・デシャン監督はその記録に並ぶ可能性があるわけだが、それでは1934年と1938年のイタリアでワールドカップ連覇を成し遂げた監督は誰だったのか。

それは、ヴィトーリオ・ポッツォという人物。「イル・ヴェッキオ・マエストロ(オールドマスター)」と呼ばれた名将である。

ヴィトーリオ・ポッツォの生い立ち

ヴィトーリオ・ポッツォは1886年にトリノで生まれ、フランス、スイス、イギリスでサッカー選手として活動。現在のFCトリノにあたるクラブの設立にもかかわったほか、ピレリの会社員として働いていた。

イタリア代表チームの監督として働いたのは、1912年、1921年、1924年、そして1929年から1948年と4回にわたる。

1934年のワールドカップは歴史上初めてヨーロッパで開かれた大会であり、会場となったのは他でもないイタリア。

ヴィトーリオ・ポッツォが率いるチームは快進撃を見せ、アメリカ、スペイン、オーストリア、そしてチェコスロバキアを撃破。見事に地元で優勝を果たす。

そこからの勢いは素晴らしいもので、1936年に行われたベルリンオリンピックでも金メダルを獲得、1938年大会まで1試合も負けることはなかった。

そしてフランスで行われたワールドカップ1938でもノルウェー、フランス、ブラジル、さらにハンガリーを破って優勝。見事大会2連覇を達成した。

この時に達成された9試合連勝と30試合無敗という数字は、前者が2019年、後者が2021年に更新されるまでイタリア代表の最長記録であった。